2023年12月05日

★ 官僚主義を打破する、注目の書 ★

自著でも、自社の本でもありませんが、1年以上にわたって編集協力してきた大著がついに完成したので紹介します。英治出版発行の新刊です。

1200.jpg


『ヒューマノクラシー/「人」が中心の組織をつくる』

ゲイリー・ハメル、ミケーレ・ザニーニ 著
東方雅美訳、嘉村賢州-序文、
英治出版、2023/12/6発売、定価2,750円(税込)


長年にわたって組織の根幹をなしていた官僚主義=ビューロクラシー。もはや、その役割を終えたはずなのに、まだまだ一部の組織に根深く残りつづけている。この本では、ピラミッド型の垂直制御をおこなう組織から、現場で汗水流して働いている従業員を中心とした「人水平(僕の造語だが、現場の人たちが、自分たちで考え、アイデアを出しあい、工夫して、日々のさまざまな業務をおこなうだけでなく、経営全体のことまで含めて、自分たちで運営するという意味)の組織」の先見性を力説している。

私は経営分野については門外漢だが、ゲラを読んでいて、のめりこんでしまった(笑)。というのも、実例でとりあげている欧米企業の「ミシュラン」や「サウスウェスト」や「ニューコア」の話が、まるでドキュメンタリー小説を読んでいるような筆致だったからだ。ふと、かつて大ヒットした企業小説の『ザ・ゴール』を思いうかべる。著者および翻訳者の手慣れた文章力が光る。

訳者がゲラを校閲している頃だろうか、テレビのワイドニュースでは、ビッグモーターやジャニーズ事務所の報道が過熱していた。最近では、大学のアメフト部の事件や自民党の「パーティ券裏金疑惑」などが取りざたされている。

なんだか、こうした問題の背後に、垂直に形成された権力構造が見え隠れする。透明性や説明責任という表現が飛び交うなかで、いまだに官僚主義が根強く生き延びていることを肌で感じる。というより、われわれ自身の心のなかに、あるいは自分が暮らす地域のなかに、さらには広い社会のなかに、無意識に、まだしっかりと官僚主義の性癖がこびりついているのではないか。

ともあれ、この『ヒューマノクラシー』の内容は、批判が主ではない。産業革命時に必要とされた官僚制のメリットやデメリットを検証するなど、官僚制の長い歴史を、端的に、冷静に分析しつつ、それ以外の大半を、官僚主義から脱却するための解説に充てている。

官僚主義から脱却するため、困難のなかで地道な取り組みをしている大小の企業や組織の事例を豊富に紹介。また、自分の日々の職場のなかで、どうしたら粘り強く、官僚主義を超えられるか、その方法を具体的に伝授。

つまり、読むと元気になる本だ。冬休みに一読をお勧めする、うってつけの一冊だと思う。
(2023年12月6日 和田文夫)
posted by サンシロウ at 19:50| Comment(0) | TrackBack(0) | ★編集日記

2023年11月06日

佐藤ちひろさんが「ぶらり途中下車の旅」で紹介

『フェアアイル・ニッティングーーシェットランドからの贈りもの』
の著者、佐藤ちひろさんが、
日本テレビ「ぶらり途中下車の旅/京王線」で紹介されます。
放送は、2023年11月11日(土曜)朝9時25分〜10時30分。
ぜひ、ごらんください。

  A4判、140頁
  定価:本体2,400円+税
  発行:ガイア・オペレーションズ
  発売:英治出版
  発行:2011年3月(2刷)

  イギリスの北東に位置する小さな島、
  フェア島(シェットランド諸島の島)。
          その島に古くから伝わる伝統の編み物
  「フェアアイル・ニッティング」に魅せられた著者が、
  30年以上にわたって培った技法を書き下ろしたファン待望の本です。

著者の佐藤ちひろさんのショップ「シェーラ(SHAELA)」は、京王線つつじヶ丘から徒歩1分の場所にあります。

  書籍の詳細については、右のサイドバーにある「目次」の「フェアアイル・ニッティング」をクリックしてください。

2022年02月24日

季節の便り 2022.2.24(木)


22-02-24_DP2M1681-00.jpg
(写真をクリックすると拡大します/SIGMA DP2 Merrill)

今日から雨水の次候(第五候)にはいった。庭の梅の花がずいぶん開いてきた。地面のフキノトウはだいぶ開いてしまった。数日前、摘んだフキノトウをサラダ油で炒めて、信州みそ、みりん、砂糖、日本酒で炊いて、味噌フキノトウをつくったが、春の苦みがなんともいえず鮮やかで、白ごはんや酒が進みすぎるのがやっかいだ。春のめぐみをささやかにいただくありがたさ。そんな日々に、他国に侵攻する国があろうとは信じられない。人類はいつまで戦争をつづけるのだろうか。

雨水/次候(5候:2月24〜28日)
霞、初めてたなびく。
日の出  6:18(前日  6:19)
日の入 17:32(前日 17:31)
posted by サンシロウ at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | ★雲を眺めに逗子海岸

2022年02月23日

★『孤島の発見 増補改訂版』発売のお知らせ★

孤島-表紙_20-07-21.jpg


●著者より●
2007年に出版した拙著『孤島の発見』を、「増補改訂版」として、電子書籍版で出版したので、ご案内します。

当初、紙の印刷版の内容で電子化の編集にとりかかりました。でも、気分がしだいに高揚してきて、未掲載の写真を50枚ほど追加、また、紙面のレイアウトデザインも一新してしまいました。

紙の印刷版で使った画像データも、デジタル端末用に、すべて初めから現像しなおしました。自分で言うのも恥ずかしいですが、写真の出来ばえが、ずいぶん向上しました。また、随想とも、旅の想いともつかぬ文章も、追加しました。

ちなみに、今回の編集作業をするとき、私は、マイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」と、パット・メセニーの「ビヨンド・ザ・ミズーリ・スカイ」をずっと流していました。宮古島の空と海と雲には、この2枚のアルバムがとても似合います。

コロナの時代、私も、ほとんど家に引きこもる日々になりましたが、この『孤島の発見』の電子化作業をしていて、しばらくのあいだ、ぼんやり、うっとり、そして晴れやかに、宮古を旅している気分を味わいました。家のなかにいても、旅が出来るのだと気づいたのです。

みなさんも、ぜひ、家のなかから、遠い旅へ出かけて、楽しんでください。
いい旅を!
                               (和田文夫)

posted by サンシロウ at 12:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ★雲を眺めに逗子海岸

2021年10月11日

雲を眺めに逗子海岸 No.1506/2021.10.11(月)

2021-10-11_DP2M1644.jpg
(写真をクリックすると拡大します/SIGMA DP2 Merrill)

七十二候ではすでに「寒露」に入ったが、水着姿で海に入っている人がいる。南南西の風が6メートル。風の強い日は、ウィンドサーフィンが賑やかだ。目を射るような西日で、空の奥行きはすっかり秋らしくなった。

新型コロナウィルスの緊急事態宣言は解除されたが、あいかわらず引きこもり状態なので、たまの散歩では、できるかぎり歩くようにしている。半袖のTシャツの背中は、すでに汗で濡れている。

寒露/初候(49候:10月8〜13日)
鴻雁、来たる。
日の出  5:44(前日  5:43)
日の入 17:12(前日 17:13)

posted by サンシロウ at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ★雲を眺めに逗子海岸

2021年01月27日

雲を眺めに逗子海岸 No.1505/2021.1.26(火)

1505-21-01-26_DP0Q9529.jpg

1505-21-01-26_DP0Q9565.jpg

1505-21-01-26_DP0Q9611.jpg
(写真をクリックすると拡大します/SIGMA DP0 Quattro)

久しぶりの海岸へ。
空は薄もやがかかったようで、もう春の色に変わりつつある。
今日は暖かく、頬をかすめる風は冷たいことは冷たいのだが、
肌に突き刺さるような冷たさではなく、すべるように通り過ぎていく冷たさだ。
爽やか、といってもいい。
日の出はすでに6分ほど早まり、日の入りは35分ほど伸びている。
それもそのはず、いまは大寒の次候71候だから、あと一つの候が終われば、
立春なのだ。
毎日毎日、テレビから感染者の数字が流れてくるが、季節は淡々とめぐってゆく。
早春の夕暮れ、カドのとれた夕風の浜辺を歩いていると、なんだかほのぼの
としてきた。
季節を楽しむことを忘れていた自分をもったいなく感じた。

大寒/次候(71候:1月25〜29日)
水沢、氷つめる。
日の出  6:45(前日  6:46)
日の入 17:03(前日 17:02)

posted by サンシロウ at 06:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ★雲を眺めに逗子海岸

2020年12月31日

雲を眺めに逗子海岸 No.1504/2020.12.31(木)

1504-20-12-31_DP0Q9484.jpg

1504-20-12-31_DP0Q9485.jpg

1504-20-12-31_DP0Q9492.jpg

1504-20-12-31_DP0Q9514.jpg

1504-20-12-31_DP2M1467.jpg

1504-20-12-31_DP2M1483.jpg
(写真をクリックすると拡大します/SIGMA DP0 Quattro、DP2 Merrill)

ぞろぞろと、たくさんの人が、海岸から戻ってくる。浜辺に出ると、まだ人がたくさんいる。大晦日だから、海を見にくるのだろうか。元旦だから、ダイヤモンド富士だから、海岸にくるのだろうか。意味はわかるが、僕には理解できない。いつだって、気持ちのよい景色が見られるのだから。

昨日くらいから、日の出の時刻が早くなりだした。日の入りは、もう最早時から10分ほど伸びているので、これで名実ともに昼が勢力を増してゆく時節に入った。つまり、また春や夏をしたがえて、夏至へ向かう旅へ出たということだ。とはいえ、なぜか、寒さはこれからが本番。風呂に柚をうかべてみるか。

やや風があり、やや波もあり、北寄りの風が通りすぎると、めっぽう寒い。でも、北西には、大きな雲のかたまりがあって、姿を変えてゆく。丹沢山稜と空の境界は橙色に燃えるようで、まさに真冬の色あいだ。久しぶりの海岸なので、ときどき、打ち上げられた貝殻など見ながら、写真を撮っていたら、すっかり暗くなってしまう。

南西の空の低いところに星がひとつ。ああ、もしかして、と目を凝らすと、その右下に星がもうひとつ。最接近はもう終わってしまったようだが、木星と土星である。写真を撮って、あとで画像をみたら、目ではまったく見えなかったのに、木星と土星のまわりにも、星がたくさん写っている。賑やかな空を見ていたら、なんだか、元気が出てきた。

冬至/末候(66候:12月31〜1月4日)
雪下りて麦のびる。
日の出  6:50(前日  6:50)
日の入 16:39(前日 16:38)

posted by サンシロウ at 21:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ★雲を眺めに逗子海岸

2020年12月17日

雲を眺めに逗子海岸 No.1503/2020.12.17(木)

1503-20-12-17_DP0Q9357.jpg

1503-20-12-17_DP0Q9361.jpg

1503-20-12-17_DP0Q9366.jpg

1503-20-12-17_DP0Q9426.jpg

1503-20-12-17_DP0Q9459.jpg

1503-20-12-17_DP2M1452.jpg
(写真をクリックすると拡大します/SIGMA DP0 Quattro、DP2 Merrill)

久しぶりに、少し早めに海岸へ向かう。
西に落ちる夕陽があまりにも眩しく、手を目のまえにかざす。
ここ数日、季節の大きな変わり目なのか、圧巻の雲が登場している。
雲が変幻自在にかたちを買えていくのを眺めていると、時間の経つのを忘れる。
さて、もうこの辺で店じまいかな、と思って雲の切れ間に目をやると、
髪の毛のような月が、そっとあたりをうかがっている。
思わず、雲に隠れるまで、月を見ていた。

大雪/末候(63候:12月16〜20日)
鮭の魚、群がる。
日の出  6:44(前日  6:44)
日の入 16:31(前日 16:30)

posted by サンシロウ at 22:46| Comment(0) | TrackBack(0) | ★雲を眺めに逗子海岸

2020年12月08日

雲を眺めに逗子海岸 No.1502/2020.12.8(火)

1502-20-12-08_ADP2M1434.jpg

1502-20-12-08_DP0Q9317.jpg

1502-20-12-08_DP0Q9326.jpg

1502-20-12-08_DP0Q9336.jpg
(写真をクリックすると拡大します/SIGMA DP0 Quattro、DP2 Merrill)

すでに、大雪(たいせつ)に入った。
大雪(おおゆき)ときけば、東北地方の人は、
雪下ろしがやっかいだなあと思うかもしれないし、
関東の人間は、めったに見られない銀世界に胸おどらせるかもしれない。
浜辺は思いのほか暖かく、厚着をしてきたので、歩いていたら、すこし汗ばんだ。

夕空は、どんよりと曇っていて、浜辺にでたときは、
ちょうど、丹沢山稜に太陽の頭がすこしだけ見えていて、
あわててカメラを準備したのが、そのあいだに沈んでしまった。
このどんよりと空を塞いだような雲が好きである。
味わい深い。

日の出は、冬至まで、ひきつづき遅くなりつづけるが、
きのうから、日の入りが伸びはじめた。
毎年思うのは、ここから春が始まっているような気分だなあ、
という感想だ。厳しく寒い冬も、春の一部にような気になる。

大雪/初候(61候:12月7〜10日)
空寒く、冬となる。
日の出  6:38(前日  6:37)
日の入 16:29(前日 16:29)

posted by サンシロウ at 21:17| Comment(0) | TrackBack(0) | ★雲を眺めに逗子海岸

2020年11月30日

雲を眺めに逗子海岸 No.1501/2020.11.30(月)

1501-20-11-30_DP0Q9256.jpg

1501-20-11-30_DP0Q9289.jpg

1501-20-11-30_DP2M1417.jpg
(写真をクリックすると拡大します/SIGMA DP0 Quattro、DP2 Merrill)

空には、冬の色が濃さをましてゆく。
指がかじかむようになり、冬らしくなってきた。
このところ、月の光がよく差し込む。
夜、庭にでて、月や星を見るクセがついてしまったが、
しんしんと冷え込む外気を胸に吸い込むのも、冬の醍醐味だ。

小雪/次候(59候:11月27〜12月1日)
朔風(きたかぜ)木の葉をはらう。
日の出  6:31(前日  6:30)
日の入 16:29(前日 16:29)

posted by サンシロウ at 23:11| Comment(0) | TrackBack(0) | ★雲を眺めに逗子海岸