2012年に、<『孤島の発見 パート2』を思う>という記事を書いてから、すでに4年が経ってしまった。生まれつき怠惰、という性癖はともかくとして、この空白な4年について考えると、ため息が出てくる。まあ、そういう準備が出来ていないのだ、と言い訳もできるが。
さすがに在庫もあと数十冊となり、増刷するか、パート2にするか、考えあぐねている。「パート2を出せば?」という声も多く、僕自身、そんなふうに考え始めている。だが、状況はずいぶん変わってしまった。僕のなかで、未知の孤島は既知のリゾート島に姿を変えてしまっていた。僕は、何を探せばいいのだろう。
しかし、飛行機の窓から、ぼんやりと空を眺めていたら、かつての想いがよみがえってきた。南の雲たちは、力強く、清々しく、屈託がない。そんな空を長いこと眺めていたら、雲たちに元気づけられたような気がした。

(那覇〜宮古間:写真をクリックすると拡大します/シグマ、DP2 Merrill)
飛行機が宮古空港にむかって降下態勢をとりはじめたとき、島影が見え、驚きが広がった。飛行機が東南から侵入したのである。『孤島の発見』の冒頭におさめたと同じコースだった。もう一度、新たな眼差しで島をみなさい、と東平安名崎に、さとされているような気がした。東平安名崎は、僕にとって、聖地ともいうべき場所だ。

(東平安名崎をのぞむ:写真をクリックすると拡大します/シグマ、DP0 Quattro)
さらに、飛行機は西へ向かい、来間島、与那覇湾のまばゆい風景を差し出してくる。そこには、かつてのような新鮮な驚きはかげをひそめたが、ぬくもりのある郷愁のような、一抹の安堵感を覚えた。故郷とはいえないまでも、かすかな帰郷感を覚えた。

(来間島をのぞむ:写真をクリックすると拡大します/シグマ、DP0 Quattro)