『Gift』市橋織江(写真)
先日、写真家の和田剛さんから勧められて買った本が届いた。
ページをめくるたびに、ため息がもれる。
特にテーマはないようで、国内外をふくめて、
さまざまな場所で、さまざまな被写体を撮った作品集だ。
東京ドームがあるかと思えば、金閣寺、富士五湖、
アイスランドの少女がバイオリンを弾いている写真、
花、動物、牧場の羊、ブラジルのレンソイス公園、
セネガルのキリン・・・。
僕にとってはほとんど興味がない被写体なのに、
写真から目が離れない。魅入ってしまう。
これは、いったい、どういうことなんだろうか、
と迷路に足をふみいれた気分だ。
もっとも惹かれたのは、その色合いだと思う。
くっきりとしているのに、ぼんやりとしている。
鮮やかなのに、淡い。
硬質なのに、やわらかい。
ひっそりしているのに、元気がみなぎっている。
この写真は、いまひとつわからないな、あまり好きではないな、
というのが1枚もないことに気づいて、さらに驚く。
世界がこんなにも穏やかで、暖かく、豊かなのに、
人間はいったい何をしているのだろう、
などという懸念もわいてくる。
ふと、思う。
世界がこんなにも美しいことを、僕らは日々、
忘れていやしないだろうか。
そんなあなたに、ささやかですけど、
ちょっとした贈り物をします。
Giftというタイトルに、もし、そういう想いが
こめられているとしたら、この写真集は、
たしかに最高の贈り物だ。
すばらしい写真集だと思う。
誰かに、贈りたくなってしまった。
2009年04月19日
この記事へのコメント
んじゃ図書館へ行ってみるかな。
Posted by ワタナベ at 2009年04月19日 20:59
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