2011年06月19日

〈和田剛写真展 おれとキューバ〉2011年6月15日(水)

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和田剛さんの写真展〈おれとキューバ〉を見に行く。
東京新宿・エプサイトを訪れたのは、10年ぶりくらいだろうか。

記憶をたどると、ビジュアル広告関係の業界誌の編集をしていたころ、
東松照明さんの取材を、たしか、エプサイトでしたはずだ。
おそろしく緊張していたことをいまでも思い出す。

それにしても、新宿は人が多い。
高層ビルが林立し、人混みに流される僕は、まるで「おのぼりさん」状態だ。


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今回は、展示数が多く、たっぷりとキューバの空気を堪能できる。
とても自然な作品だ。
目線のある写真ですら、それを撮している写真家の存在が希薄なのである。
写真家の意図を意識することなく、キューバそのものに僕らの意識が入りこんでしまう。


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作品は、額装ではなく、パネル貼りだった。
そのせいか、一枚一枚の写真が、屈託なく語りかけてくる。

マイクを通した杓子定規な公式答弁ではなく、
床屋のあるじと、きさくな会話を交わしているような雰囲気。

昭和30年代、僕らはこんなふうに暮らしていたのではないか、
と、ふと思った。

はたして、この今の日本に暮らす僕らは、豊かになったのだろうか。
とてもそうは思えない。

豊かと設定されたシステムに組み込まれているにすぎないのだ。
資本主義とか社会主義とかいうことではなく、
僕らは、自分の暮らしの主導権を、システムに委任してしまったのだ。
システムに文句はいうが、システムそのものから脱走することは考えない。


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仕事のない日、和田剛さんはギャラリーにいる。
彼はたぶん、おれの作品、おれの表現を見てくれ、とは思っていない。

キューバって、なんか、いいよ。
おれたちが、すでに捨ててしまって、でも、捨てるべきじゃなかったかもしれない、
暮らしのリアリティが充満しているんだ、などということを、
ひっそりと伝えたいためにいるのだと思う。

展示は、来週23日まで。ぜひ、のぞいてみてください。
posted by サンシロウ at 23:23| Comment(1) | TrackBack(1) | ■和田剛写真展/和田剛
この記事へのコメント
和田剛さんの新作「アイスランド」
ギンザ・フラッグ・ギャラリーで展示オリジナルプリント販売しています。
ぜひ行ってみて下さい。
Posted by tera at 2012年04月27日 13:52
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おれとキューバ
Excerpt: 知り合いの写真家、和田剛さんが新宿で写真展を開催中です。 和田剛 写真展 "おれとキューバ" 2011年6月10日(金)〜6月23日(木) 新宿epSITEギャラリー 入場無料 ..
Weblog: gan-chan blog
Tracked: 2011-06-18 11:14