それはシカゴでのことだ。当時、欧米では新しい写真の動きがあり、時代は「撮る写真から創る写真へと主流が移りつつあった」という。そこで著者は、「写真の芸術的側面よりも、機能的な視点から、さまざまな組み合わせを考えていた」という。
みずから「飽きっぽい性格」という著者が、25年以上にわたり手がけてきた、おびただしい数の作品群。このあたりで、それを世に問うてみたい、という仲本さんの決意が出版に至ったといえるかもしれない。
さて、前回にひきつづき、今回も、ディテイルを示しながら、作品を紹介しよう。この作品は、仲本さんが2008年に旅した沖縄・座間味の写真で構成されたものだ。
1)まず4つのピースから

2)次に9つのピース

3)次は30のピース

4)次は120のピース

5)そして、完成作品

いかがでしょうか。
部分と全体、その全体がかもしだす複雑な彩りが、
世界の見方を変えてくれるようだ。 (つづく)

『メルカトル・パノラマ デジタルフォトによるコラージュアートの世界』
仲本 賢 著
GAIART-COLLECTION 05
(『栄町-ポラントリュイ肖像写真集』につづく、シリーズ第5弾)
サイズ=タテ32×ヨコ24センチ
本文:108頁=4色刷り(96頁)+モノクロ(8頁) ハードカバー
定価 3,990円(税込)
発行 ガイア・オペレーションズ
発売 英治出版