







(写真をクリックすると拡大します/シグマ、DP2 Merrill)
喜名の番所から58号線を南下して、嘉手納町と読谷村の境を流
れる比謝川まで戻る。読谷村の南の入り口、比謝川大橋から読谷
村に入ってみたかったからだ。
真っ赤に塗られた比謝川大橋から川べりに目をやると、人が立っ
ている。釣り人だろうか。川は流れがなく、緑の池のように見え
た。気持ちよさそうな木陰のある遊歩道を歩きたかったが、あき
らめて、渡具知ビーチへ向かう。
猛烈な暑さのなか、ゆっくりと浜を歩いた。月曜日のせいか、人
の姿はほとんどない。頑丈なコンクリートでつくられた東屋の日
陰で、地元のオジイが昼寝をしている。射るような夏の光が、時
の流れを押しとどめているかのようだ。ときおり、その光を切り
裂くように、戦闘機が爆音をしたがえて嘉手納のほうへ消えてゆ
く。
白い道を歩いてゆくと、立派なアダンの木が立っている。ずっと
見ていると、まるで人のように思えてくる。浜の右手にある岩場
までいくと、若い男が、岩の上にすわって、海を見ている。暑く
ないのだろうか。さらに歩いてゆくと、三十半ばくらいの、アメ
リカ人の夫婦とすれちがった。
散策をきりあげて戻る途中、涼しげな木陰が目に入った。近づく
と、どうやら御嶽のようだ。岩の斜面に、鳥がじっと立ってい
る。東屋が、手入れのゆきとどいた芝生に黒い影を落としてい
る。そこに腰をおろして、しばらく、ぼんやりと、水平線をなが
める。少し眠くなってきた。このまま日が暮れるまで、昼寝をし
たらどうかという誘惑に駆られる。 (つづく)