





(写真をクリックすると拡大します/シグマ、DP2 Merrill)
今日は、8月10日の土曜日。列島は猛暑がつづく。
すでに立秋の声を聞いたが、涼風はまだ吹かない。
仕事場にはエアコンがないので、大げさではなく、サウナにいる
ような案配だ。ただ座っているだけで汗が噴き出してくる。
ふと、読谷出張記がまだ残っていたことを思いだす。
もう2か月近い過去になってしまったが、きのうのことのように
感じる。たしかに、6月中旬の読谷村の暑さは、8月の今と似た
ようなものだったなと気づく。夏が2か月もつづいているわけだ。
さて、過去へ戻ろう。
6月18日。琉球庵。汗まみれで、目覚める。窓の外は快晴。
カメラをもって、琉球庵のベランダへ出る。起き抜けに写真を撮
ることもないだろうにと思いつつ、夏雲の圧倒的な姿に見とれる。
時は止まり、ただ光だけが降りそそぐ。このベランダで、日がな
一日、空を眺めて過ごしたらどんなにいいか、思案する。ベラン
ダの隅に、小さなシーサーが座っている。かわいいが、威風堂々
としている。暑いのに大変だ。この家を守っているのだろう。
シャワーを浴びて居間へ降りてゆくと、リョウタさんが、近所を
案内してくれるという。琉球庵の裏手には、小さな川が流れてい
た。暑さで溶けそうな県道から川へ降りてゆくと、草が生い茂っ
ていて、ひんやりしている。鉄の棒でやぶを突きながら進む。ハ
ブに出会わないようにするためだ。
案内してくれたのは、川のそばにある、御嶽だ。小さな御嶽で、
祠の手前に、インパチェンス(別名アフリカホウセンカ)が花を
つけ、シダも生えていた。まるで供花のように見える。御嶽のま
えにいると、しずやかな心持ちになる。
宿にもどり、車でリョウタさんお気に入りのビーチに連れて行っ
てもらう。6号線を残波入口から真栄田岬のほうへ向かい、恩納
村へ入ってしばらく走った空き地に車を停めた。すぐ近くに、巨
大な墓があり、目を見張る。
ビーチに出る。北東に真栄田岬が見える。それにしても、この雲
はどうだ。力にあふれていて、それでいて、軽やか。雲好きには
たまらない光景だ。
ビーチの西側には、大きな岩に挟まれた小さな渚が、なんともい
えない魅力をたたえている。時間があれば、その日陰の渚で、日
がな一日・・・馬鹿の一つ覚えだ。
水も澄んでいて、宮古島の池間ビーチをふと思いだす。沖合の右
手に、伊江島がぼんやりと見える。それにしても、地元の人に教
えてもらわなければ、こんな場所にはまず来られないな、と思っ
た。 (つづく)