

★編集日記 2020年9月13日『孤島の発見』電子化日誌(7)★
宮古で台風に遭うことは何度かあった。どれも、すばらしい体験だった。台風がやってくるのは数日後だったが、海がうねり始めるときなど、一日中、海岸巡りをしたものだ。
2006年7月11日も、近づいてくる台風の影響で、波が高くなっていた。イムギャーからシギラベイにかけて写真をとっていたが、大波の表情を間近で見たくて、海に突き出た岩場を、前へ前へと進んでいき、シャッターを押しつづけていたが、ファインダーのなかで、海面が盛り上がってゆっくりと自分のほうへ向かってくるのに気づき、ファインダーから目を離すと、目の前に波が来ていて、あわてて、ぴょんぴょんと岩の上を走りながら逃げ戻った記憶がある。
それほど緊迫した状況ではなかったが、万が一、波にさらわれていたら、周囲には人影もなかったので、まずい状況になったかもしれない。まあ、自然相手に写真を撮る人には、多かれ少なかれ、命の危険を感じる場面も多々あるはずだ。
そんなことを思い出し、波の写真を数枚、紙版より増やそうと思った。写真には、写した人のさまざまな思いが、まとわりついているんだと、改めて思い知る。もちろん、写した本人にしかわからないことだが。それにしても、僕らは、大波という、ある種、自然が見せる恐ろしい姿に、どうしてこれほど惹かれてしまうのか、いつも気になる。
[この写真は、2006年7月11日に撮影。2007年の紙版『孤島の発見』には未収録]