2013年06月21日

沖縄本島・読谷村出張記(その2)2013年6月15日(土)

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(写真をクリックすると拡大します/シグマ、DP2 Merrill)

朝、目を冷ますと、光がまぶしい。
眠るまえ、部屋のカーテンは開けたままにしておいた。
ベッドからテラスへ出て、朝一番の空と海を眺める。
すべてが、夏の光で輝いていた。
残波灯台も元気そうだ。
そこには、かげりも、躊躇も、懸念も、なにひとつない。
「屈託のない」という言い方は、まさにこういうことを言
うのだろう。

英ちゃんとふたりで朝食をとりにゆくが、さすがに前夜の
二日酔いで箸がすすまない。英ちゃんは、もりもり食べて
いて、ぼくがうらやましそうに「元気だなあ」と力なく笑
うと、「二日酔いでしょ」と言って、喜んでいる。ここに
いると、二日酔いですら心地よく感じる。

気合いを入れなおして、会議にのぞむ。夕方、それなりの
充実感と、ふだんの100倍くらい使った脳の疲れがしみ
出てくる。部屋で一息ついてから、浜辺におりて写真を撮
る。


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(写真をクリックすると拡大します/シグマ、DP2 Merrill)

ホテル前のプライベートビーチ脇にある巨岩のトンネルを
ぬける。大潮の干潮だろうか、潮がひいて、岩にびっしり
と張りついたアーサ(ヒトエグサ)が生き物みたいに見え
る。白味噌じたてのアーサ汁を思い浮かべて、つばを飲む。

岩場をあるいてゆくと、首輪をつけた犬が、行儀よくすわ
って静かに海を眺めている。その横にある岩の上に女の子
がすわって本を読んでいる。ときどき、水平線に目をやる。
地元にくらす女性なのだろう。テレビドラマに出てくるよ
うなシーンで、現実の世界にいるような気がしなくなって
きた。もちろん、ぼくは傍観者で、王子様ではない。

犬に微笑んでから先へすすむと、クリスティア教会の裏手
の浜へ出る。天を突き刺すようなゴチック風の尖塔をもっ
た白亜の壁の教会と、胴付長靴を着て、腹まで海につかっ
ている釣り人を、かわるがわる眺める。どちらも、充分に
ストイックで、宗教的だ。

釣り人は、魚を釣ることが目的ではない。息をひそめ、竿
の先、糸の張り、糸が水面と接する一点、潮のながれ、風
の匂い、光の気配、つまり、自分以外のあらゆるものに意
識を溶けこませている。自分の外にでているのだ。

神に祈るのも、似たようなものかもしれない。自分を、自
分のそとにあるものと合体しようとしているのだ。

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(写真をクリックすると拡大します/シグマ、DP2 Merrill)

西日がきついなあと思いつつ見渡すと、幻日がでている。
太陽の両脇に、幻の太陽がみえる光学現象で、雲が氷点下
で結晶となり、そこに太陽の光が屈折反射しておこる現象
だ。せっかく読谷まできて写真を撮っているなら、少しサ
ービスしてやろうじゃないかと、空や雲が、おもてなしを
してくれているように思えた。


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(写真をクリックすると拡大します/シグマ、DP2 Merrill)

歓声があがる。
振り返ると、クリスティア教会で結婚式がひらかれていた。
きれいに着飾った若い女性が四人、浜へ降りてきて、沈み
ゆく夕陽を眺めたり、写真を撮ったりしている。

最高の思い出として記憶に刻まれるにちがいない。せめて、
結婚式の日くらいは、永遠の愛を信じてもいいだろう。で
きれば、水平線の上にたなびく夕陽や雲も、それにおとら
ず、永遠の美を放っていることも記憶しておいてほしい。
大きなお世話か。


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(写真をクリックすると拡大します/シグマ、DP2 Merrill)

日が沈み、青一色の、モノトーンの世界がひろがる。闇が
降りるまえの、光のささやかな休息。だが、それで終わり
とはならない。しばらくすると、雲のへりがうっすらと桃
色に染まり、やがて熾火のように、橙色の帯があらわれる。
美しすぎて、目眩がしてきた。       (つづく)
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2013年06月19日

沖縄本島・読谷村出張記(その1)2013年6月14日(金)

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(写真をクリックすると拡大します/シグマ、DP2 Merrill)

読谷村へ出張。
前回、那覇空港でレンタカーを借りるさい、かなり時間を要し
た。そこで今回は、空港からゆいレールで美栄橋駅まで行き、
駅近くのレンタカー店で車を受け取ることにした。

ところが・・・なんと、ゆいレールが運行を停止している。あ
とでわかったのは、小禄駅付近で車両故障が見つかり、一時間
ほど全線で運転を中止したそうだ。仕方なく、タクシーで美栄
橋へ。車の受け渡しはすぐにすんだが、荷物を車に積み込んだ
あと、壺屋界隈の町の定食屋で昼食をとる。

ちょうど、天ぷらがあがるというので、エビとイカを注文した。
揚げたての大きなテンプラは、とても美味しく、1本60円。
120円たらずで、幸せがこみあげてくる自分をみていると、あ
まりにも安上がりな人間だとわかる。

そのあと、桜坂劇場のオープンテラスで、1杯200円の珈琲を
飲みながら、同行の英ちゃん(英治出版社長の原田英治氏)と
目があうと、おたがいに、意味もなく薄笑いを浮かべている。
那覇の真夏に溶かされて、すっかり、なごんでしまっているの
だ。

そのあと、気を引き締めてジュンク堂へ挨拶へ行ったが、入り
口で「かりゆし」の販売をしていて、ん・・・、ジュンク堂は
移転したのか、とあわてたが、店内イベント販売のひとつだっ
たようだ。とはいえ、あいかわらず、ふたりして、にやにやし
てばかりいる。那覇にいくと、いつもそんな気分になるのであ
る。

再度、気を引き締めて、読谷村にある日航アリビラホテルへ。
高級リゾートホテルだが、スタッフの方々の笑顔がとても自然
で、心地よい。前回とおなじく、最上階の眺めのよい部屋を用
意していただき、恐縮する。

窓を開けてテラスへでると、そこは別世界・・・
などと陳腐な物言いになってしまうが、本当に別世界なのだか
ら仕方ない。上の写真の右下にあるペーパーナイフのように沖
へのびている岬が残波岬で、灯台も見える。


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(写真をクリックすると拡大します/シグマ、DP2 Merrill)

その日の日没は7時23分で、逗子より25分くらい遅いだろ
うか。意味もなく、何か得をした気分になる。午後8時ころま
で、空はうっすらと明るい。日が沈むころ、テラスから見える
風景は美しく、リゾートホテルが販売しているのは豪華な設備
や高級な料理ではなく、人の心をときほぐす仕掛けなのだと合
点する。

写真の右下に見えるのが、アリビラのクリスティア教会。鋭利
な尖塔が厳かな気配を醸しだしている。


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(写真をクリックすると拡大します/シグマ、DP2 Merrill)

深夜、英ちゃんとテラスで、残波の黒を飲みながらゆんたくし
ていると、彼が、「星がすごいね」と言ったので、首を真上に
むけると、たしかに、すごい。三日月も、大きくて光が豊かで、
内地でいつも見ている月より、精気をおびている。

屋根のない最上階のテラスだから、この絶景を味わえる。こと
によったら、僕の場合は、このテラスだけで充分かもしれない。
雨さえ降らなければ、星を見ながら眠ることもできる。片岡義
男の『時には星の下で眠る』というタイトルを懐かしく思い出
してしまった。テラスで眠ればよかった、と思いついたのは、
あとの祭り。

40億年もまえ、地球ができたてのころ、テイアという原始惑
星が地球と衝突したという。いったん地球は破壊したが、ふた
たび形を整え、現在の地球と月が誕生したという仮説だ。ビッ
グバンといい、このテイア仮説といい、気の遠くなるような夜
空の時間をさかのぼると、なんともいえない不可思議な感動が
ひろがってゆく。

ちなみに、テイアは、ギリシア神話に登場する女神の名前で、
月の女神であるセレネの母の名前。

そういえば、ホテルのスタッフの方から聞いた話では、ホテル
付近のビーチには、ウミガメの産卵があるそうだ。最盛期には、
ウミガメが方向をまちがえないように、ホテルの灯りをできる
だけ消すこともあるという。真っ暗なリゾートホテルのテラス
から見る星空は、いったい、宇宙のどんな物語を教えてくれる
のだろうか。                 (つづく)
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2013年05月10日

2013年5月9日(木)雲の話、2つ。

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立夏の声をきくと、思い浮かぶ風景がある。
乾いた土の匂い、鋭利で容赦のない光、黒光りするほど濃い葉陰、ひとけのない正午、
あまりの迫力に、自分の小ささを思い知らされる入道雲。

しずかに、ひとりで、なんの変哲もない、赤土の道に腰をおろし、
ぼんやりと雲を眺める。
至福の時間だ。

夏のはじめ、宮古島へゆくと、いつもそんな風景に出会う。
海の彼方に、あるいは底にある異界、あるいは理想郷のニライカナイ。
琉球の神話のひとつだ。
だが、僕にとっては、たとえば、宮古そのものがニライカナイの様相を呈している。


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(以上、写真をクリックすると拡大します/シグマSD15/2012年7月6日、宮古島にて撮影)


幸せの青い鳥を探しに、世界へ旅に出てみたものの、青い鳥はみつからない。
疲れ果てて、いつもの、変わりばえのしない自分の住みかへ帰還する。
だが、その庭先に、青い鳥をみつけて、人は驚く。

  私たちの時代に失われてしまっているのは「幸福」ではなくて、
  「幸福論」である。

と喝破した寺山修司は正しい(寺山修司、『幸福論』角川文庫)。
僕らは、何も見ようとしていないのだ。
高度情報化時代、僕らは何でも知っていて、何も知らない。
そんなときは、目についた大樹のまえで、ひがな一日、
なにもせずに、ただ座ってみるといい。



弊社の税理士さんから、本の情報が届いた。
僕が、雲好き、というのを知ってのことだ。

ちなみに、彼は先日、ソニーのフルサイズ・コンパクト・デジタルカメラ
RX-1という、20数万円もするカメラを買ってしまったという、
「デジカメ底なし沼」に、どっぷりと浸かっている人である。

おすすめの本は、『雲のカタログ[空がわかる全種分類図鑑]』という
きわめつけの一冊。



かつてベストセラーになった『空の名前』に、科学的解説を加えて
重装備したような内容だ。
雲好きには、たまらない一冊。家宝レベルである。
奥付をみると、2011年の初版だが、今年すでに8刷となっていた。

なぜ人はこんなにも雲が好きなのか。
美しく気品があるが、きまぐれで、機嫌がわるいかと思うと、
しっとりとやさしい。
まるで恋人のようだ・・・。

この惑星のなかで、夜と昼、雲の流れ、打ち寄せる波、といったものは、
僕らに語りかけてくるこの星の唯一の言葉だ。
それを耳を傾けなければ、いったい何を聞けばいいというのだろう。

地球そのものが生きているというガイア思想は、僕には真実に思える。
なぜなら、この星自体が生きていなければ、その星に住まう生命が
生きてゆけるはずがないからだ。

今年は異常気象で、寒くて、あるいは、熱くて、おかしい、と人はいう。
とんでもない思いちがいだ。

それは、この星が、体温を下げていたり、上げていたり、
自動調節しているのに他ならない。
雲のさまざまな動きを見ていると、そんな地球の振る舞いを感じるのだ。



もうひとつ、静止画映像化作品のサイト〈DAKOTALAPSE〉を紹介しよう。
このサイトは、ときどき装釘デザインの仕事をお願いしている
デザイナーの大森裕二さんから教えていただいた。
大森さんが大絶賛したとおり、驚愕の映像だ。

米国はサウスダコタ州で農園を営む写真家、ランディ・ハルバーソンという人が
制作した作品である。
自宅の農場のあちこちで撮影したもので、
自ら考えだした自動撮影のカメラ装置を使って、3〜4時間のコマ撮りを行い、
それをパソコンで動画に編集したものである。
動画の1秒は、実際には14分間にあたるという。

最近、この手法を使って作品をつくっている人は多く見かけるが、
〈DAKOTALAPSE〉は、とにかく映像の美しさ、迫力が半端ではない。

じっと見ていると、地球が自転していることを体感できるのだ。
日々、こんな風景が流れているのを、だれも知らない。
畏敬の念すらおぼえる。

ふと、思う。
こんなに美しい地球を、人間はよってたかって、食いつぶそうとしている
という山之口貘の声が聞こえてくるようだ。

世界はどんどん狭くなり、情報が飛びかい、さまざまな危機が噴出している。
だが、世界は、昔とおなじくらい広いし、情報はどうでもいいものばかりだし、
人はいつだって、生存の危機にさらされているものだ。

だったら、まず、じっと夜の星を眺めて、宇宙を味わえばいい。
自分がどこにいて、どんなふうに、世界のただなかにいるのかを。

そうすれば、シンプルに、自分の身の丈にあった暮らし方のヒントを
手にできるかもしれない。


なお、〈ワイアード〉で、和文の紹介記事を読むことができる。
(サンシロウ)
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2013年04月24日

2013年4月16日(火)宮古島にて(4)

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(写真をクリックすると拡大します/シグマDP2 Merrill)


そういえば、日付が前後するが、宮古に滞在していた4月16日は、
伊良部大橋の中央部分の橋げたの設置作業が行われた日だった。

中央部分の橋げたは、長さ140m、幅16.1mで、重さは約1600トンあるそうだ。
この日は、晴天とはいかないまでも、雲間に青空も見える穏やかな天気。

たまたま来間島の竜宮展望台で写真を撮っていたら、
そのなかの一枚に、霞がかった伊良部大橋の中央部分に、
巨大クレーン船が写っていた。

伊良部大橋は、2015年の1月に完成の予定。
それにしても、宮古の石垣は、ほんとうに見事なものである。
2枚目の写真は、竜宮展望台の石垣だ。
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2013年04月22日

2013年4月17日(水)宮古島にて(3)

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(写真をクリックすると拡大します/シグマDP2 Merrill)

宮古滞在の最終日。
最終便まで、まだずいぶん時間があるので、池間島へむかう。
空は脱色されたように、ぼんやり曇っている。

池間で、通称ブロックビーチに寄る。
いつもはシュノーケリングでにぎわうが、この日は誰もいない。
貸切だ。

浜へおりて、膝まで海につかり、大神島を眺める。
曇りの日は曇りの日で、やわらかい趣がある。

一周してから、思い立って、島尻へむかう。
少し、霧が出てきた。
霧の宮古。

霧かあ、とすこし、がっかりした。
今回、はじめて、マングローブ公園というのに気づき、寄ってみた。
よく整備された散歩のための木道がある。

三脚は宿に置いてきたが、まあ、霧なら写真をとるまでもないだろう。
念のため、カメラだけ持っていく。

木道を歩きながら、自分の馬鹿さかげんに気づく。
宮古で霧・・・。最高のシチュエーションなのに、気づかなかったのだ。

マングローブと白サギ、それ以外にも、数種類の鳥を見かける。
沼地には、さまざまな貝や魚の家(穴)が無数に広がり
木道を歩く僕の足音に反応して、すばやく穴に隠れる。

木道からだと、マングローブをかなり近くで見ることができる。
そして、マングローブには、雨と霧がよく似合うのだ。

手持ちで撮影したが、光が弱いせいもあり、ほとんど使い物にならなかった。
手ぶれ写真でお恥ずかしいが、2枚だけ掲載しておこう。

次回は、準備万端、弁当持参で、じっくりと訪れようと誓った。
願わくば、霧が深く垂れこめる日に。
posted by サンシロウ at 17:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ★編集日記

2013年4月16日(火)宮古島にて(2)

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(写真をクリックすると拡大します/シグマDP2 Merrill)


東平安名崎で巨岩めぐりを終えてから、岬の突端にある灯台へ向かう。
この時季、テッポウユリが花をつける。
以前、むせかえるほど、ユリの匂いが立ちこめていたこともあったが、
今回は、それほどではない。

強い風が吹きぬけるこの岬で、あんなにひ弱そうにみえる花が
けなげにというか、したたかに咲きほこっている姿は、
いつ見ても感動をさそう。

いや、ひ弱だから、強いのだろうか。
微風にゆれる純白の花は、とても気持ちよさそうだ。
posted by サンシロウ at 05:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ★編集日記

2013年04月20日

2013年4月16日(火)宮古島にて(1)

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(写真をクリックすると拡大します/シグマDP2 Merrill)

前日は肌寒い日だったが、この日は晴れ間ものぞき、
気温もかなり上がった。

午後、東平安名崎へでかける。お気に入りの場所だ。
大潮の干潮なのだろう、波打ちぎわが大きく後退し、
浜が露出している。

膝まで海につかりながら岩巡りをした。
奇岩、巨岩がおもいおもいに点在し、見飽きることがない。
東平安名崎の奥深さをあらためて感じる
posted by サンシロウ at 14:28| Comment(1) | TrackBack(0) | ★編集日記

2013年04月18日

2013年4月13日(土)沖縄・読谷村

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(写真をクリックすると拡大します/シグマDP2 Merrill)


この日は、とても暖かく、たぶん海で泳ぐことができただろう。
とはいえ、朝から夕方まで、びっしりと会議がすすむ。

宿泊地は、読谷村のホテル日航アリビラで、初めての訪問だった。
プライベートビーチは白砂の浜辺がひろがり、
海は軽やかで透きとおり、薄緑色が美しい。

夕暮れのひととき、最上階の部屋のテラスに出ると、
ほんのりと黄金色にそまった空と、静かにゆらめく海に息をのむ。
どこか遠い国の、見知らぬホテルにいるような錯覚をおぼえる。

ことによったら、リゾート地というのは、骨休みをしたり、
ショッピングをしたり、マリンスポーツをしたりする空間ではなく、
桃源郷のような、この世にない場所をほんの束の間、
夢をみるように体験する空間なのではないか、などと空想してしまう。

それほど、この夕暮れの海と空は、心に染みた。
posted by サンシロウ at 22:13| Comment(0) | TrackBack(0) | ★編集日記

2013年4月12日(金)沖縄・北谷にて

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(写真をクリックすると拡大します/シグマDP2 Merrill)


仕事で、久しぶりに沖縄へ。
夕暮れどき、北谷に寄り、美浜から海を眺める。

海はしずかで、ときおり、白波がゆっくりと現れる。
空の青に、奥行きがあるようなないような、不思議な色合い。

この日は少し肌寒いくらいで、しっとりとしている。
posted by サンシロウ at 21:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ★編集日記

2012年05月27日

庭の気配 2012年5月27日

仕事を終え、朝、床につこうと思ったが、ガラス戸の外をみると、
庭の草木が、朝の深呼吸をしながら、さかんにおしゃべりをしているように見えた。

思わずカメラを持ち出して、草木の声に耳を傾けながら、シャッターを切る。
とくに手入れもせず、伸びるがままになっている草木たちだが、
とても他人とは思えない何かがある。

自然は自然のままがいい。
自然を好き勝手につくりかえたり、奪いつくしたりしていいなどと
誰がきめたのだろうか。

そんなことをふと思いながら。

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(以上、シグマSD15、17-50ミリ)
posted by サンシロウ at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ★編集日記

2012年04月10日

2012年4月10日(火)春の想い

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(シグマSD15、17-50ミリ)

外へでると、春の匂いが充満している。
庭先では、ニラバナが群生していて、
沈丁花ほど強くはないが、はなやいだ香りを発散している。
まぶしいほどの白さだ。

先日の台風もどきの嵐でも、花弁を閉じて、耐えしのんだようだ。
強固なものは、ぽっきりと折れることはあるが、
かよわい茎が、したたかな強さをもっている。

桜は満開だが、なにも、カラオケや酒の喧噪を聞きにゆかなくても、
そこかしこの片隅で、春の息吹を楽しむことができる。

冬が寒ければ寒いほど、春の到来は喜びもひとしおだが、
たぶん、それは、ふたたび花開くことへの共感というか、
息をひそめていた精気と、からだが出会う逢瀬のときめき
なのかもしれない。

ささやかに、しかし最も大切なこととして、
季節を深く味わうことを忘れないようにしたい。

posted by サンシロウ at 22:57| Comment(1) | TrackBack(0) | ★編集日記

2012年01月22日

〈宮古ちっくライフ〉イベントのお知らせ!

★会期中、このお知らせは、ブログのトップに置きます★

今週末に(1/20〜22)、宮古島のイベントが、東京・新宿で開かれます。
〈宮古ちっくライフ〉と題して、音楽や語りあり、feuwaxの手作り
キャンドルをはじめとする雑貨販売あり、もちろん、宮古フードありと
盛りだくさん。

また、わが友人の写真家・和田剛さんも、会場でポートレイト撮影を
おこなう「出張写真館」で参加します。私の『孤島の発見』も、
販売していただけるそうで、楽しみにしています。寒い冬に、
宮古の暖かい風を浴びに、ぜひ、おでかけください。


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posted by サンシロウ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ★編集日記

2012年01月16日

『ダーク・スター・サファリ』発売、間近!

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とうとう『ダーク・スター・サファリ』の見本があがってきた。本文のページ数は、
696ページで、厚さ5センチ! 弁当箱とくらべても、遜色ないが、本文用紙にOK
アドニスラフという紙材を使っているので、見かけよりかなり軽く仕上がっている。

装幀に関しては、英治出版のユニークな方針もあり、シリーズ本ではあるが、あえて
仕様を統一しないで、それぞれの本の内容にふさわしい造本を追求している。

第一弾のブルース・チャトウィン著『ソングライン』、第二弾のニコラ・ブーヴィエ
著『世界の使い方』、そして今回のポール・セロー著『ダーク・スター・サファリ』
(以下、『サファリ』と略す)は、みな、判型がちがう。

それでいて、しっかりシリーズの統一がとれているのは、装幀を担当していただいた
大森デザインオフィスのおかげである。


編集をしていて、つくづく感心したのは、翻訳家のご苦労というものだ。仕事だから
当たり前だと言われそうだが、来る日も来る日も訳出作業や調べ物にあけくれ、問題
のある箇所では、数行訳すのに何時間もかかることがあるにちがいない。今回、翻訳
家の北田絵里子さん、下村純子さんには、とても丁寧な仕事をしていただき、大いに
勉強になった。

また、よくお客様は、一冊の本を手に取って、「これは、安いな」とか「なんで、こ
んなに高いんだ」と価格についてあれこれ感想を抱くが、翻訳書が一冊世に出るには、
原著者の執筆からはじまり、翻訳、編集、校正、装幀、印刷、販売、広告といった複
雑な工程を経ており、そのあたりが理解されないためだと思う。今回の『サファリ』
は、むしろ私などは、安すぎる(定価2,940円)と感じるが、まあ、我田引水かもし
れない。

さて。
『ダーク・スター・サファリ』だ。

著者はかつて、アフリカを支援したいという気持ちから、マラウイで学校の教師をし
ていた。ふたたび、その思い出の地を旅しようと思い立つ。日々の暮らしが少し煮詰
まってきた作家にとって、旅は、つねに人生の手応えを感じさせてくれるものなのだ。


   誰とでも、いつでも確実に連絡がとれる世界など、恐怖そのものではないか。
  そう思うと、まったく連絡のつかない場所……電話もファクシミリも、郵便配達
  さえもない、古きすばらしき世界を見つけたくなった。音信不通でいられる、遠
  く離れた場所を。
   スワヒリ語の〈サファリ〉は〈旅〉を意味する。動物とは関係がなく、誰かが
  〈サファリに出ている〉といえば、とにかく出かけていてつかまらず、音信不通
  ということだ。
   アフリカで音信不通になるのは、まさに私の望むところだった。


この旅の途上で還暦を迎えた作家にとって、誰もが肯定的に言う「つねにつながって
いる世界」は、おぞましいものであり、その齢に近づいた私にも、その気持ちは痛い
ほどよくわかる。そんなにつながっていて、いったい、何をしたいのか、と。

旅は、ほんとうの旅というのは、じつに孤独なものだ。

その孤独な旅というものが、いかに人を内省させるか、というのは興味深い話である。
日常生活の人間関係は、多かれ少なかれ、利害関係というものにからめとられており、
われわれはどこかで人との関係を値踏みしている。

だが、旅へでると、人は色眼鏡を知らぬまに外している。見知らぬ町の魚屋のおじさ
んは、魚を売りつけようとしている人間ではなく、その土地で生き抜いてきたひとり
の人間として立ち現れてくるのだ。だから、われわれは、そのひとりの人間をくもり
ない目で見つめ、ひるがえって、自分の生き方を考える。

ところで、作家というのは、人一倍、人が好きなのに人間嫌いともいうべき人種にち
がいない。『サファリ』を読んでいると、そんな気がして仕方ない。それはおそらく、
人が好きなゆえに、人に裏切られることが堪えがたいという性向からくるのではない
か。たとえば、『サファリ』にこんなくだりがある。


   料金徴収係の十代の少年は、国境を発ってからずっと、私のことを〈白人(ム
  ズング)〉と呼びつづけた。取るに足らない嫌がらせだと、最初は無視していた。
  だがその若造は図に乗って、チェワ語でこう訊いてきた。「なあ白い人、どこま
  で行くんだ?」(中略)
   若造がいっこうに態度を改めないので、ついに私はーー悪路を行く、暗くて臭
  いぎゅう詰めのミニバスの中でーー面と向かって言った。「君も〈黒い人(ムン
  トゥ・ムダ)〉と呼ばれたいか?」
   若造はとたんにしゅんとなって、むくれた。ミニバスはどうにかこうにか前進
  しつづけた。私はまだ若造と向かい合っていた。
  「ところで、君の名前は?」
  「シモン」
  「よし。〈白い人〉呼ばわりはやめてくれ。そうしたらこっちも〈黒い人〉とは
  呼ばない。私の名前はポールだ」
  「ミスター・ポール、どこまで行くんですか」シモンはしおらしい口調で言った。
   だが、どこへ行くのか、自分でも決めていなかった。


還暦を迎えた作家が、孫のような若者と、真摯にやりあっている姿に、おもわずにや
りとしてしまう。どんな世界にも、いいやつと悪いやつがいる。だが、われわれは、
ひとりひとりの人間と真摯に向き合う必要があり、「アフリカ人というのは・・・」
「日本人というのは・・・」という紋切り型の見方は、人の目を曇らす悪癖だ。セロ
ーは、だれにでも(人の言うことをまともに聞く人間であるなら、という条件はつく
が)きちんと接しようとしている。

セローは、エジプト・カイロから南アフリカ・ケープタウンへの陸路を縦断しながら、
じっくりと、「人」と対面してゆく。アフリカ出身の作家、政治家、首相、タクシー
の運転手、娼婦、船員、車掌、そして、つねに毛嫌いしている国外の支援団体の人々、
あるいは、宣教師たち・・・。上からでも下からでもなく、対等にわたりあって。発
砲されたり、ぎゅう詰めのバスで事故にひやひやしたり、まとわりつく娼婦や強盗か
ら身を守ったり、ハイエナや蛇に襲われないようにしたりして、「安全な観光ルート
を選ばず」、おもいのままに道行きを楽しんでゆく。

700ページの、長い、あまりに長い道のりを読み進むうちに、私たちは、自分の周囲に
ある日常風景がぼやけてきて、セローとともにアフリカの地をともに旅している錯覚を
覚える。そうなのだ。読書もまたひとつの旅であり(もちろん、自分の足で踏破する
ほうがいいに決まっているが)ひとつの人生の経験であると言えよう。

おいそれとは行けない遠いアフリカ大陸を、セローとともに、ぜひ旅していただきたい。


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2012年01月15日

〈ベン・シャーン展覧会〉2012.1.13(金)

仕事でお世話になっているデザイナーさんに誘われて、
〈ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト展〉
へゆく。私は名前すら知らなかったが、デザイナーさ
ん、いわく。「ベン・シャーンは、日本のイラストレ
ーターに多大な影響を及ぼした人で、日本で展覧会が
開かれるのは、20年ぶりだと思いますよ」

結論から言うと、いたく感動した。

とりわけ、ライナー・マリア・リルケの『マルテの手
記』を題材にした版画集『一行の詩のためには・・・』
の作品の前に立ったときには、動けなくなった。魂が
宿る視線に射抜かれたような、大いなる哀愁と対峙し
ているような、強烈な存在感にからめとられる。



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(『ベン・シャーン クロスメディア・アーティストー写真、絵画、グラフィックアートー』
美術出版社、2012・・・この展覧会の公式カタログ)

この作品は、ベン・シャーン最晩年の作品であり、こ
のシンプルな筆致のなかに、彼の想いすべてが凝縮さ
れているようにも感じる。

彼の作品は、絵画をはじめ、グラフィックデザイン、
写真、レコードジャケットのイラストレーション、タ
イポグラフィー、ブックデザインなど、多岐にわたり、
ふと、ウィリアム・モリスを連想してしまった。

魂の渇望を表現するために、さまざま工程に習熟し、
新しい技を発見し、つねに新たな次元を追求してゆく。
そう、かつて、さまざまな分野で人々がたずさわって
いた世界・・・職人の世界だ。

本の編集者として、私は大いに反省し、喝を入れられ
たような気がした。

というのは、現代では、1冊の本は、著者、編集者、
校正者、装幀デザイナーなど、多くの人の手を借りて
できあがる。つまり、分業化されているということだ。
そして、多くの出版社では、たくさんの部数が売れる
ように、マーケティング主導で企画を考えたり、販売
戦略を大々的に仕掛けたりする。

それを悪いとは言わないが、結果として、薄っぺらな、
魂をゆさぶらない、人を感動させない、好奇心を呼び
覚まさない本が量産される。本とは、なになのか。そ
れをもう一度、根本から考えるように教えられた一日
だった。

ぜひ足を運ばれんことを、おすすめしたい。

〈ベン・シャーン クロスメディア・アーティストーー写真、絵画、グラフィック・アートーー展〉

 開催期間:神奈川県立近代美術館 葉山 2011年12月 3日〜2012年 1月29日
      名古屋市美術館       2012年 2月11日〜2012年 3月25日
      岡山県立美術館       2012年 4月 8日〜2012年 5月20日
      福島県立美術館       2012年 6月 3日〜2012年 7月16日


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2011年06月10日

花はいつ、目覚めるのか。2011.6.10(金)

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明け方、仕事がおわってから、庭をみると、
紫陽花の紅があわく光っている。


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庭にでたついでに、近所を散歩してみた。
あちこちで、うっすらと花や葉が寝息を立てている。


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たまには花のスナップ写真でも撮ってみるかな、と思う。
犬の散歩をしている人が、微笑んで挨拶してくる。


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花というのは、雲とおなじで、不思議なものだ。
じっと見ていると、花のような気分になってくる。
ひっそりと、ただそこにいる。


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それにしても、花はいつ眠り、いつ目覚めるのだろう。
彼らは何を思い、何をみつめているのだろう。


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(以上、すべて、CZ/50)
posted by サンシロウ at 23:56| Comment(1) | TrackBack(0) | ★編集日記

2011年03月12日

2011年3月12日(土)★★★地震関連のご報告★★★


3月11日の「8.8東北大地震」に際して、
みなさまから、安否を気遣う多数のご連絡をいただき、
まことにありがとうございました。

逗子にも大津波警報が発令され、弊社オフィスも
逗子海岸から800メートルほどのところにありますが、
11日深夜まで停電したことをのぞけば、
特にこれといった被害はありませんでした。

みなさまのお心遣いに感謝するとともに、
岩手、福島をはじめとする被災地で亡くなられた方々の
ご冥福を、また、被害が沈静し、一刻も早い復旧がなされますよう
心よりお祈りいたします。

取り急ぎ、ご報告申しあげます。

3月12日 ガイア・オペレーションズ代表 和田文夫
posted by サンシロウ at 17:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ★編集日記

2009年04月14日

編集日記(006)2009年4月11日(土)

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午後、汗ばむような陽気のなか、那覇へ。
今回は、仕事モードの強行軍・・・いや、いつもそうですが・・・。
ダニエル・ロペスの「沖縄正面フェア」が桜坂劇場で開催される。
その初日だ。
時差があるので、午後6時半をすぎても、まだ明るい。


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桜坂劇場に隣接する公園をぶらり。
ネコが、なごみきっている。負けた。


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会場に足を踏み入れると、想像以上に、インパクトのある展示で、うれしい驚き。
桜坂劇場さんの熱意に頭のさがる思いだ。


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展示は、アットホームな雰囲気が漂い、やや小さめのオリジナルプリントが愛らしい。
決してゆとりのあるスペースではないのに、ゆったりと作品を鑑賞できた。


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トークショウには、たくさんのお客様にきていただき、うれしいかぎりである。
みな、熱心にダニエルのトークに耳を傾けている。


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ダニエルにインタビューしているのは、桜坂劇場のディレクター新崎さんで、今回の企画の相談・立ち上げから、すべてを仕切っていただいた。

こういう形で、著者と読者の出会いの場をつくる桜坂劇場さん、
そして沖縄の人たちの面白さ、パワー、手作りの楽しさを痛感する。

みなさん、本当にありがとうございました。       (和田文夫)

posted by サンシロウ at 03:29| Comment(2) | TrackBack(0) | ★編集日記

2009年03月01日

編集日記(005)2009年2月28日(土)

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(photo by Daishi Iwata)


夕方、東京銀座コア6階にあるブックファーストへ。
ガイアート・コレクションのブックフェアの展示準備を行う。
ブックファーストのスタッフ、英治出版の岩田さんにも手伝っていただく。
2時間ほどで、なんとか終了。


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(photo by Daishi Iwata)


土曜日とあってか、お客さんの数も多い。
お客さんの迷惑にならないよう、静かにディスプレイを進める。
今回、『孤島の発見』では、写真集には掲載されていない写真も展示してみた。
来間島から見た宮古島・前浜の3連の写真だ。

ぜひ、足を運んでいただきたい。
                       (和田文夫)


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(photo by Daishi Iwata)


★★★ ガイアート・ブックフェアのお知らせ ★★★
    ブックファースト 東京銀座コア店
    『孤島の発見』『沖縄正面』


3月1日(日)〜31日(火)まで、ブックファースト銀座コア店の
「MADOギャラリー」で、ガイアのブックフェアを開催します。

『孤島の発見』と『沖縄正面』のオリジナルプリントの展示&販売を行います。
期間中に本をお買上いただいた方には、それぞれ「オリジナルプリント・
ポストカード(3枚セット)」をプレゼントいたします。

   期間 ★ 2009年3月1日(日)〜3月31日(火)
        不定休(年6回)
   時間 ★ 午前10時〜午後10時
   場所 ★ ブックファースト 銀座コア店 Mado GALLERY
        東京都 中央区 銀座5-8-20 銀座コア6階
        東京メトロ銀座線・日比谷線 銀座駅


posted by サンシロウ at 03:01| Comment(3) | TrackBack(0) | ★編集日記

2009年02月25日

編集日記(004)2009年2月25日(水)

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昨年、ブックファースト秋葉原店のご協力で、
ガイアート・コレクションのブックフェアを開催しましたが、
3月に、今度はブックファースト銀座コア店のご協力で
ふたたび開催することになりました。

先日、ブックファースト銀座コア店に行ってきましたが、
店内はゆったりとしたスペースで、とても静かなので、
気持ちよく本選びができるお店です。
ぜひ、足を運んでみてください。
                      (和田文夫)


★★★ ガイアート・ブックフェアのお知らせ ★★★
    ブックファースト 東京銀座コア店
    『孤島の発見』『沖縄正面』


3月1日(日)〜31日(火)まで、ブックファースト銀座コア店の
「MADOギャラリー」で、ガイアのブックフェアを開催します。

『孤島の発見』と『沖縄正面』のオリジナルプリントの展示&販売を行います。
期間中に本をお買上いただいた方には、それぞれ「オリジナルプリント・
ポストカード(3枚セット)」をプレゼントいたします。

   期間 ★ 2009年3月1日(日)〜3月31日(火)
        不定休(年6回)
   時間 ★ 午前10時〜午後10時
   場所 ★ ブックファースト 銀座コア店 Mado GALLERY
        東京都 中央区 銀座5-8-20 銀座コア6階
        東京メトロ銀座線・日比谷線 銀座駅


posted by サンシロウ at 00:23| Comment(1) | TrackBack(0) | ★編集日記

2009年02月22日

編集日記(003)2009年2月22日

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(宮古島・来間島にて:2005年1月17日撮影)



金曜日の深夜、仕事の手を休め、コタツに入って熱燗など飲みながら、
ぼんやりとテレビを見る。画面には、うっそうたる緑の庭の小道にた
たずみ、美しい花々を眺める高齢のおばあさんの姿。やがて老女は、
やせ細った体を折り曲げるようにしゃがみ、伸び放題の野草を、のん
びりとむしりはじめる。

ふいに、目頭が熱くなってきた。えっ? 僕はいったいどうしてしま
ったのだろう。歳かな。涙腺が開きっぱなしになっているのだろうか。
とにかく、しみじみとした感動のなかにいる。それも、ただ、老婆が
草むしりをしている姿を見ているだけなのに・・・。

番組は、アメリカの絵本作家、園芸家ターシャ・テューダー(1915〜2008年)
のドキュメンタリー番組だった。ターシャ・テューダーの名前だけは、
知っていた。書店などで、ターシャの庭の写真集が何冊もディスプレ
イされているのを見たことがある。だが、ベストセラーをきらう、へ
そ曲がりな我が性格のせいか、庭ブームに便乗した、お手軽なシリー
ズにちがいないと、たかをくくっていた。まさに、編集者失格である。

番組収録当時88歳のターシャ・テューダーの薄くなった白髪、やせ
細った腕、落ちくぼんだ目は、現在89歳のわが老母の姿と重なる。
もっとも、こちらはますます頑固になり、老化していく姿に手を焼く
ばかりだが。それはともかく。

ターシャにとって最高のひととき、それは午後おそく、テラスのロッ
キングチェアーに座って飲む、一杯のお茶の時間だ。ターシャは、と
てももの静かで、謙虚で、それでいて、ぴんと一本の筋がとおったゆ
るぎない視線を孤空に投げかける。

私の目頭が熱くなったのは、おそらく、彼女の悲しみを見たからでは
ないだろうか。ひがな一日、ひとりで庭の花々や草木を相手に、孤独
な時間を過ごしている老婆の、寂しさを考える。寂しさとは、ひとり
ぼっちの自分を悲しむことでは、決してない。この世界の、命あるす
べてのものが朽ち果て、消滅し、また生まれ、育っていくことの道を
しっていることだ。喜びとは、寂しさの大地にひっそりと咲く一輪の
花のようなものだ。ターシャの眼差しを、私はそう解釈したのかもし
れない。

ターシャを見ていて、ふと、マザー・テレサを思い浮かべ、また、
ヘンリー・デイビッド・ソローを思い出し、さらにアーミッシュの暮
らしが脳裏によみがえる。

あとで調べてみると、ターシャの曽祖父・フレデリック・テューダー
は、ソローの『森の生活』に登場しているそうで、ターシャ自身、ソ
ローの暮らし方、考え方に深い影響を受けているという。
私は、自分の無知を罵倒する。

ターシャは、1972年、57歳のとき、バーモント州の南部にある小さな
町、マールボロに30万坪の土地を買い、移り住み、新たな人生をはじ
める。文明の便利な道具をさけ、19世紀のアメリカ開拓時代のスタイ
ルにちかい自給自足の生活を営んだ。もちろん、本格的に、自分の庭
をつくりはじめる。家具職人である息子が、18世紀の工法を研究し、
たった1人でターシャの家を造りあげたという。

57歳で、じぶんの暮らしの行く末をかんがえ、実行にうつし、亡く
なるまで、ずっとその暮らしを貫いてきたターシャに、ただただ畏敬
の念をおぼえるばかりだ。エコだ、スローライフだと、口先で、きれ
いごとを並べることは、たやすい。しかし、多くの欲望を捨てさり、
実際に、その暮らしのなかに入り、それをずっとつづけていく、その
ことの難しさを、想像してみる。

たいした年収もないのに、プール付の豪華な一戸建てを借金(ローン)
して買い求め、その債権が姿形をかえ、金融商品として流れ流れ、世
界金融を破壊したアメリカに、ターシャのような人間がいることをあ
らためて考えてしまう。

あなた自身は、どんな暮らしをおくりたいのですか。
そんな問いかけが、決して多くを語らないターシャの眼差しに潜んで
いるような気がした。

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(宮古島・下里、宮古空港ちかくにて、2007年7月10日撮影)


(写真・文 和田文夫)
posted by サンシロウ at 22:49| Comment(2) | TrackBack(0) | ★編集日記