2008年10月03日

新刊のご案内 ★ 『沖縄正面』ダニエル・ロペス著

沖縄の「壁」ばかりを撮影したユニークな写真集が10月1日に、ガイア・オペレーションズから発売された。
本ブログでも、発売に先立って沖縄市・プラザハウスで開催された出版記念個展の模様をお伝えしたが、ようやく全国発売にこぎつけた。
前にもご紹介したが、まずは、本のカバー(表+裏)をご覧ください。


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全国の書店で取り扱っていますが、部数がそれほど多くないので、注文扱いになるかと思います。
また、オンライン書店のアマゾンでも注文可能ですので、ぜひ、ごらんください。

 『沖縄正面 七十七壁と一つの手押し車』ダニエル・ロペス著
  ガイアート・コレクション 地球の眺め方-2
  (『孤島の発見』につづく、シリーズ第2弾)

  A4変型判(タテ210×ヨコ210ミリ)
  本文5色刷り/総頁数96頁/ハードカバー

  定価:2,940円(税込)
  発行 ガイア・オペレーションズ
  発売 英治出版

著者のダニエル・ロペスさんは、スペイン人の両親をもつスイス人。
世界を放浪しながら写真をとりつづけ、沖縄の魅力にとりつかれ、首里に移り住み、沖縄県立芸術大学大学院で学ぶ。
あるとき彼は、最高の芸術作品が、自分のすぐそばにあることに気づく。
長い時の流れと強烈な太陽、風や雨などによって、自然に完成した芸術作品である「壁」を発見したのだ。
目の眩むような色彩の饗宴、侘び寂び、朽ちていく美……
ページをめくれば、心がときめき、解放されていくのがわかるだろう。
「序文」は、ロペスの友人であり、沖縄に住居をかまえ、国内外で活躍する演出家の宮本亜門さんに執筆していただいた。

では、本文の一部をご紹介しよう。

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いかがでしょう。
なんの変哲もない壁なのだが、見ているうちに、なぜか、懐かしい記憶が頭をもたげてきて、さまざまな思い出が去来する。
一瞬の生、あるいは長きにわたる時の流れ、光と影、乾いた諦念、そんな印象にからめとられてしまう。
ぜひ、本書を手にとって、こころゆくまで味わっていただきたい。

面白いのは、この写真集を見たあと、街を歩いていると、思わず、あたりの壁をじっと見つめてしまうことだ。
そう、この写真集は、これまで気づかなかった、世界の見方、楽しみ方を教えてくれるのだ。

ここで、ダニエル・ロペスさんのプロフィールをご紹介しよう。

1970年、スイス(ジュラ州)に生まれる。両親はスペイン人。
1995年から、航空関連会社に勤めるかたわら、ヨーロッパ各地で写真やマスメディアに関する活動を始める。
2000年、写真家として活動しながら、東南アジア、韓国、日本などを旅する。
2003年、沖縄へ移住。現在、沖縄県立芸術大学大学院で学ぶ。写真家として、雑誌のプロデュースやビジュアルデザインなどを手がける。また、沖縄のテレビでパーソナリティも務める。スイスと沖縄の文化交流に積極的に取り組んでいる。

最後に、ダニエルさんの「まえがき」を掲載します。

  無名の人の手で作られ
  自然の要素で手直しされた
  思いがけない芸術作品
  これらの作品は
  街に南国の香りを感じさせ
  甘美なまでの混乱を映している
  そして関心が向けられるのを待っている…
  なぜなら
  己の余命を悟っているから…
              ―ダニエル・ロペス(本文より)

(和田文夫)


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2007年11月16日

書籍のご案内 ★ 『孤島の発見』

11月下旬に、新刊が出る。
タイトルは『孤島の発見』で、ガイアで企画・執筆した本である。


  書名:孤島の発見
     沖縄・宮古島 原初の力を浴びにゆく
  著者:和田文夫

  仕様:カラー写真95点収録
     A5判ヨコ(タテ14.8×ヨコ21センチ)
     ソフトカバー、112ページ、4色刷
  発行:ガイア・オペレーションズ
  発売:英治出版
  定価:1,890円(税込)


2003年に初めて沖縄・宮古島へゆき、少しずつ、島に惹かれていく。
年に4回ほど、宮古島を訪れるようになり、折りにふれて撮りためたスナップ写真をならべた。
そこに、エッセイとも詩ともつかぬ短文を付して、1冊のビジュアル本にまとめたものが本書だ。
巻末には、『異物』の著者・永坂壽さんの解説を掲載。
また、宮古島の略図と簡単な地誌データ、撮影場所を明記したサムネールも収録したので、宮古島のガイドブックとしても活用できる。


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なぜ宮古に惹かれたのか。
最初は郷愁だった。
子どものころの、失われた時間と空間の記憶がシンクロしたのだろう。
貧しかったけれど、毎日が新鮮だった子ども時代への憧憬。
生きるということがシンプルで、力に満ちあふれていた日々。


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何度か宮古島を訪れるうちに、知り合いも増えていった。
同時に、未知の島は既知の土地になり、暮らしと旅のあいだで宙づりになった。
それでも、訪れるたびに新鮮な発見があった。


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圧倒的な雲。
ゆるやかに流れる時間。
サトウキビ畑を吹き抜けていく風。
海と空の美しさ・・・。


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それらは、絶海の孤島がもっている原初的な力によるものではないか、と思いはじめた。
自然は複雑だが、作為的ではない。
ありのままに感じ取れるものがあれば、それだけで充分だと思った。


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もしこの写真集を見て何かを感じたり、匂ったり、メロディが聞こえてきたら、ぜひ一度、宮古島を訪ねてみてほしい。
(和田文夫)
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2007年03月28日

書籍のご案内 ★ 『パクリ学入門』

★読者のみなさまへ 『パクリ学入門』刊行のご案内★

 企画から発行まで、2年の歳月を費やした『パクリ学入門 ウェブ時代の創造力を鍛える36冊のブックガイド』が、4月5日に発売されます。


    書名: パクリ学入門 ウェブ時代の創造力を鍛える
               36冊のブックガイド
    著者: 黒川芳朱
    体裁: タテ188×ヨコ118ミリ、ソフトカバー
    発行: ガイア・オペレーションズ
    発売: 英治出版
    定価: 本体1,500円+税

 じつは、この企画はもともと、英治出版の編集スタッフ(出版プロデューサー)の勉強会として企画されたものでした。編集者として、さまざまな著者と関わるに際して、これだけは読んでおきたい本、考えておきたいテーマを考え、その本の優れた内容を話し合おうという意図で出発しました。その後、いくつかの事情で、その企画が変更になったので、改めてきちんと著者を立て、本の企画として再出発しました。

 なんの苦労もなくコピー&ペーストでさまざまな情報が手に入るウェブ時代、そもそもオリジナルは存在するのか。いま、文芸、音楽、映像、身体などをはじめとする表現=創造力は、どういう状況にあるのか。芸術や創造的表現は、もはや我々にとって無用のものになりつつあるのか。

 そうしたテーマを、「パクリ」というユニークな切り口で考察したのが『パクリ学入門』です。では、本書の「序文」の一部を、ご紹介しましょう。

 「今やわれわれは、インターネットによって、世界中からテキスト、静止画、動画、音声をかき集めてコピー&ペーストし、図版の入った読み物や映像作品など、さまざまなものを作成できる。かつてないほどスピーディで、仕上がりもきれいなパクリの手段を、コンピュータは標準装備した。創造と情報の転用の差が曖昧になり、パクリが市民権を得てしまったのだ。これが、新たな創造につながるのか、文化をつまらないものにしてしまうか、即断はできない。だが、こういった状態は本当に今に始まったことだろうか。

 書道では手本を真似る。絵画の修練として模写がある。表現としてコラージュがある。クラシックでは楽譜のとおりに演奏する。和歌では本歌取りがある。文章を書くことは、すでに存在している単語や慣用句を組み合わせることである。口承文学や民謡が示すように、文化の伝承と創造のあいだに線引きをすることは難しく、ひとつ間違えば文化のダイナミズムを殺すことにもなりかねない。私たちは、いつごろからか、独創というドグマに縛られ、創造は無から有を生み出すものだと考えすぎたのかもしれない。創造を物質やエネルギーや情報が形を変えていく過程と考えると、そこには本質的に「模倣す(パク)る」に近いことがあるはずだ。

 そこで私は、「つく(創・造・作)る」ことの現代的意味を考えるために、ある実験をすることにした。文化や創造に関するさまざまな本を読み、その内容をパクリという言葉で強引に解釈してみようというのだ。それによって、独創とは異なる創造の姿が見えてくるのではないか。この、読書の生体実験記録が本書である。
 取り上げたのは、創造、文化の発生と伝承、パクリについて考えさせてくれる本ばかりである。
 誤解しないでいただきたいのは、本書で取り上げた本の著者が何かをパクっているということでは断じてありません。著者の方々の名誉のため、これは明記しておきます。
 みなさん、創造の世界への扉は三十六あります。どこからなりとお入りください。」

では、以下に、本書で取り上げた名著をご紹介しましょう。

<目次内容>
01 岡本太郎『沖縄文化論』
        まず原型から疑え
02 植草甚一『ワンダー植草・甚一ランド』
        食べる人
03 鶴見俊輔『限界芸術論』
        芸術の土台を発見する
04 水上 勉『土を喰う日々』
        四季をパクる食卓
05 三木成夫『内臓のはたらきと子どものこころ』
        宇宙をパクる胃袋
06 柳澤桂子『「いのち」とはなにか』
        すべては自己パクリから始まった
07 西岡常一、小川三夫、塩野米松『木のいのち木のこころ
        〈天・地・人〉』 千年かけたパクリ?
08 池波正太郎『鬼平犯科帳』
        パクリの品格
09 寺山修司『誰か故郷を想はざる』
        ふるさとパクって
10 土方 巽『土方巽全集I』
        形を食い破る生命
11 正高信男『子どもはことばをからだで覚える』
        言葉をパクり言葉にパクられる
12 野口晴哉『整体入門』
        野蛮人の体力をパクリかえす
13 三好春樹『元気がでる介護術』
        下降線の中で輝く生を復権する
14 河野美香『男が知りたい女のからだ』
        パクりたいパクれない
15 江國香織『きらきらひかる』
        関係を食い破る純愛
16 片岡義男『ホームタウン東京』
        時差をパクる
17 安井仲治『安井仲治写真集』
        惜しみなく写真機は奪う
18 稲垣足穂『一千一秒物語』
        言葉の隙間をパクる
19 草間彌生『無限の網』
        世界に喰われるか喰うかの闘い
20 折口信夫『死者の書・身毒丸』
        魂寄せアヴァンギャルド
21 森谷寛之、杉浦京子、入江 茂、山中康裕
      『コラージュ療法入門』 人間はパクる葦である
22 茂木 健『バラッドの世界』
        口承・パクリ・創造
23 塚原 史『ダダ・シュルレアリスムの時代』
        意味を殺す
24 相倉久人『ロック時代 ゆれる標的』
        音楽からパクられたもの
25 野村 誠、片岡祐介『即興演奏ってどうやるの』
        音楽を奪いかえす
26 椹木野衣『シミュレーショニズム』
        パクって倒す
27 大平貴之『プラネタリウムを作りました』
        見えない星をパクる
28 木下清一郎『心の起源』
        前提をパクる
29 天藤 真『大誘拐』
        パクったつもりがパクられて
30 竹山 哲『現代日本文学「盗作疑惑」の研究』
        いわゆるパクリについて
31 日名子暁『パクリの戦後史』
        夢は荒れ野を
32 野田正彰『この社会の歪みについて』
        奪われた生
33 浜なつ子『死んでもいい』
        魅せられたる魂
34 福岡正信『[自然農法]わら一本の革命』
        真にパクるとは何もしないこと
35 田川健三『キリスト教思想への招待』
        宗教ー神=?
36 松井孝典『宇宙人としての生き方』
        もう地球からはパクれない

 『パクリ学入門』は、何かを表現しようとしている方、創造のトビラをこじあけようとしている方、本の読み方を知りたいと思っている方、すぐれた読書案内を探している方、本書をパクろうと思っている方・・・にとっては、大いに刺激になり、また、芸術や文化、創造力に関する興味深いヒントが詰まっています。一家に一冊、ぜひ常備していただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

(ガイア・オペレーションズ 編集担当/和田文夫)
posted by サンシロウ at 00:39| Comment(0) | TrackBack(3) | ■書籍のご案内

2006年10月10日

書籍のご案内 ★ 『異物』

今日、10月9日は、ガイアの2冊目の新刊が出た記念すべき日だ。自分の小説『キリエの誕生』が2003年の発行だったので、3年ぶりの新刊発行である。まったく、呑気としかいいようがない。

タイトルは『異物』で、宮古島在住の小説家、永坂壽(ながさか・ひさし)さんの力作だ。南の島の暮らしを、幻想的でありながら、妙にリアルに浮き彫りにした味わい深い物語である。



詳細は、追ってまたご報告するつもりだが、宮古島つながり、というか、宮古島でいつも泊まるゲストハウス「ひららや」つながりで作り上げた本で、僕自身、感慨深いものがある。

著者の永坂さんは、宮古島の酒場のオーナーでもあり、ミュージシャンでもあり、ひょんな縁で(新宿ゴールデン街にあるバー「鳥立ち」に端を発する)宮古へ滞在したおり、永坂さんの酒場に通い出して、知り合った。

カバーの写真は、ひららやで知り合った東京のフォトグラファーの和田剛さん、本トビラの装画は、ひららやのスタッフをしている放浪の画家アマネさん、それに、「ひららや」のオーナーのヒロさんに、ガイア直売店(?)として、『異物』の販売を引き受けていただいた。

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人と人とのつながりとは、不思議なものである。

そして、今日10月9日は、ひららやを紹介してくれたチハルちゃんと、永坂さんの結婚パーティの日だ。末永くお幸せに。新しい小説、新しい音楽、新しいカクテル、大いに期待しています。
(和田文夫)
posted by サンシロウ at 14:05| Comment(0) | TrackBack(1) | ■書籍のご案内

2006年10月08日

書籍のご案内 ★ 『キリエの誕生』



   なにをやっても、うまくいかない十九歳の希里絵。
   転げ落ちるように人生の泥沼に沈んでいく。
   彼女を待ち受ける過酷な宿命とは何か。
   彼女に手をさしのべる奇妙な人たちの秘密とは何か。
   若き女性の再生と誕生を描いたシリーズ第1作。
   人類の未来を託された人々が今、動き出す。

        著者: 和田文夫
        初版: 2003年11月6日
        体裁: B6判、256頁、ソフトカバー
        定価: 本体1,200円+税
        発行: ガイア・オペレーションズ
        発売: 英治出版

★本文紹介(冒頭のエピローグより)★

ゆるやかな右カーブを抜けると、眼下に日本海が姿をあらわした。
V字谷の中ほどまで海がせりあがり、その底に町が広がっている。
定規で引いたような一直線の国道を滑るように下っていく。
さっきまで、狭くて曲がりくねった道を走ってきたのが嘘のようだ。
1200cc、並列四気筒のエンジンがうなり、からだを振るわす。
自分がオートバイに乗って故郷に向かっているなんて……。
ビデオの早戻しのように、2年の歳月を思い返す。
義父は元気にしているだろうか。
次郎は幸江と結婚したのだろうか。
小川さんは、佐知子と暮らしているのかな。
あらためて考えてみると、自分の人生とは思えない。
まるで他人の人生を空から眺めているようだ。
これは運命だったのだろうか。
ちがう。
人は、自分を何かにゆだねることなど絶対にできない。
人は、人を救ったり癒したりはできない。
自分で自分を変えていくしかないのだ。
私は、たくさんの人たちの力をもらって生まれ変わった。
世界はきっとやさしさに満ちあふれている。
ただ、それに気づいていないだけなのだ。
キリエ、あなたはよく生き抜いてきた。
これからも、自分をもっと汲み尽くしていくのよ。
それがほかの人たちに勇気と微笑みを伝播していく。
私は静かに微笑んだ。
未来はここにあり、過去もここにあり、今という瞬間を私はすべて引き受ける。
(c)Fumio Wada


posted by サンシロウ at 07:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ■書籍のご案内