ツヨシちゃんのお気に入りの場所、来間島へ向かう。
来間島は、宮古島の南西にある離島で、池間島とおなじく、
宮古本島と橋でつながっている。
橋をわたってすぐ左手に入ると、通称タコ公園がある。
島ダコが獲れるのだろう。
僕は、タコ公園に行くのは初めてだ。
途中の道が、なかなかワイルドだ。

この日もまだ多少、うねりが残っていたが、
タコ公園の下にある小さな入江は、ひっそりと静まりかえっている。

タコ公園をあとにして、長間浜へ向かう。
途中、集落を通るときに、来間島小中学校の校庭がある。
ツヨシちゃんも僕も、お気に入りの校庭だ。
いまや都会の学校では、部外者はたやすく校庭には入れないが、
ここは、ほんわりと、開かれている。
シンプルで、原風景にふさわしい場所だ。
拙著『孤島の発見』を編集していたとき、当初、収録しようと思っていたが、
後ろ髪ひかれる思いでボツにした。

久しぶりの長間浜。
渚に出て驚いた。
砂浜がかなり流出して、岩が露出している。
鉛色の雲が浮かんで、神秘的な雰囲気。


どうやら、大波で岩が打ちあげられたようだ。
大きなサンゴの石に圧倒される。


まだ砂の残っている波打ち際は、相変わらず美しい。
しっとりとしていて、心が静かになってくる。

砂浜をそぞろ歩いていると、ヤドカリが会議しているところに遭遇した。
どんな話し合いをしているのだろう。

味わい深いマキガイをみつけると、たいてい、家主がいて、
あきらめることしばしば。
彼らは、とてもファッショナブルで、センスがいい。

フライトの時間が迫っているので、名残惜しくも、長間浜をあとにする。
最後の記念にと、もう1枚、存在感あふれる岩の写真を撮る。
じっくり見ていると、岩の息づかいがきこえてくるようだ。
