2009年10月16日

雲を眺めに宮古島★2009年10月10日(土)

宮古最終日。

ツヨシちゃんのお気に入りの場所、来間島へ向かう。
来間島は、宮古島の南西にある離島で、池間島とおなじく、
宮古本島と橋でつながっている。

橋をわたってすぐ左手に入ると、通称タコ公園がある。
島ダコが獲れるのだろう。

僕は、タコ公園に行くのは初めてだ。
途中の道が、なかなかワイルドだ。


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この日もまだ多少、うねりが残っていたが、
タコ公園の下にある小さな入江は、ひっそりと静まりかえっている。


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タコ公園をあとにして、長間浜へ向かう。
途中、集落を通るときに、来間島小中学校の校庭がある。
ツヨシちゃんも僕も、お気に入りの校庭だ。

いまや都会の学校では、部外者はたやすく校庭には入れないが、
ここは、ほんわりと、開かれている。
シンプルで、原風景にふさわしい場所だ。

拙著『孤島の発見』を編集していたとき、当初、収録しようと思っていたが、
後ろ髪ひかれる思いでボツにした。


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久しぶりの長間浜。
渚に出て驚いた。

砂浜がかなり流出して、岩が露出している。
鉛色の雲が浮かんで、神秘的な雰囲気。


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どうやら、大波で岩が打ちあげられたようだ。
大きなサンゴの石に圧倒される。


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まだ砂の残っている波打ち際は、相変わらず美しい。
しっとりとしていて、心が静かになってくる。

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砂浜をそぞろ歩いていると、ヤドカリが会議しているところに遭遇した。
どんな話し合いをしているのだろう。


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味わい深いマキガイをみつけると、たいてい、家主がいて、
あきらめることしばしば。
彼らは、とてもファッショナブルで、センスがいい。


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フライトの時間が迫っているので、名残惜しくも、長間浜をあとにする。
最後の記念にと、もう1枚、存在感あふれる岩の写真を撮る。
じっくり見ていると、岩の息づかいがきこえてくるようだ。


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2009年10月14日

雲を眺めに宮古島★2009年10月8日(木)

北海道からやってきたシンディのために、
一度くらいシュノーケリングをしようと、イムギャーへ。

台風の余波で、うねりはまだ強かったが、
イムギャーは内湾なので、問題ない。
フィンをつけるツヨシちゃんと、波打ち際にたたずむシンディ。

水はすこし濁っていたが、波間にぷかぷか漂いながら、
クマノミをはじめ、10種類ほどの魚をのんびり眺めていた。


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天の思し召しか、雲が晴れ、青空が広がっていく。
陽射しは、関東の真夏と同じくらい強い。


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展望台へ向かい、外海をながめる。
リーフの内側は、思ったより静かだ。


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展望台の屋根の上には、なぜか牛が、東の水平線をみつめている。
意味はよくわからないが、壮観な眺めであることは確かだ。
牛の毅然とした姿勢に感動をおぼえる。


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それにしても、屈託のない空である。
大地はうららかで、のんびりと陽を浴びている。

とりたてて何もない、こういう風景を見ていると
なぜか子ども時代を思い出し、ほのぼのとしてしまう。


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宮古の浜辺のどこにも茂っているモンパノキ。


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イムギャーをあとにして宿へ戻る。
道すがら、ツヨシちゃんが、畑のなかに渋い小屋をみつけ、
車を路肩に停めた。
さすが写真家。視野が広い。


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人が住んでいたのか、たんなる納屋なのか、判然としない。
にわか雨のときは、重宝するにちがいない。


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雲を眺めに宮古島★2009年10月7日(水)その2

植物園をあとにして、夕陽を拝みにいこうということになった。
そこで、宮古の北にある離島・池間島へむかう。
池間島は、宮古本島と橋でつながっている。

池間島の西側の浜辺に行くと、台風の余波なのか、
うねりが、やや強い。

張りだした雲のかなたに、うっすらと桃色が広がる。
水平線に沈む夕陽は、残念ながら見ることができなかった。


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岩の上で写真を撮るシンディ。
ときどき、砕けた波が高く舞い上がる。


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淡く染まった夕焼けを堪能しつつ、貝殻を拾ったりして、
夕暮れのひとときを楽しんだ。


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2009年10月13日

雲を眺めに宮古島★2009年10月7日(水)その1

この日は、ツヨシちゃん、シンディと3人で、
宮古島市の熱帯植物園を訪れる。

ちなみに、ツヨシちゃんこと和田剛氏はプロの写真家で、
シンディこと長島氏は、私の写真集『孤島の発見』の
ブックデザインを担当してくれたデザイナーである。

宮古島で陶芸をしている友人のキューマさんが、
植物園のなかに併設されている体験工芸村の村長さんになったのだ。
写真は、熱帯植物園の入口。ツヨシちゃん(左)とキューマさん(右)。


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植物園を入り、右手の小道を行くと、キューマさんの工房がある。
宮古では珍しい木造建築が、新鮮な印象を受ける。
宮古では、湿度やシロアリなどのために、コンクリート建築が多い。


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中へ入ると、お客さんが巨大シーサーをつくっていた。
キューマさんの工房では、体験シーサー作りもしている。

シーサーを作っているのは、地元の飲食店の方(右端)である。
今度、新しくお店を開店するということで、
お店の入り口に置く大きなシーサーに挑戦している。
それも、珍しいウシ(?)のシーサーだ。

左にいるのは、キューマさんの奥さまで、コーチの真っ最中。


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キューマさん(中央)が、お手本を見せているところ。
なにやら楽しそうで、僕も作ってみたくなった。


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植物園を散策しようと、工房から出ると、
キューマさんの飼い犬のマツが同行してくれるという。
右手にいるのは、シンディ。


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園内は、手入れが行き届いていて、とにかく気持ちいい。


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マツが、しっかりと先導してくれるので心強い。
ときどき、どこかへ走り去ってしまうが。


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芝生の上に寝ころんで、日がな一日、ビールを飲みながら
好きな本など読んでみたい誘惑にかられる。


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南国の植物や動物は、からだが大きくなるようだが、
このクモも、10センチくらいはあるだろうか。


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華やかな色が、目を楽しませてくれる。
南国ならでは、というべきか。


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来た当初は薄曇りだったが、いい塩梅に、青空が顔をのぞかせた。


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宮古島は、白い砂浜、碧緑の海、荒々しい岩が目をひくが、
今回、植物園を訪れて、これまで気づかなかった森の美しさを
発見した。
次回もぜひ、今度は、お弁当とビールと本をもって、
まる一日、楽しんでみようと思う。

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2009年10月07日

雲を眺めに宮古島★2009年10月6日(火)

猛烈な台風18号の動きが微妙な状況だが、
デザイナーの長島君が宮古へやってくる。
今日、千歳から飛行機を乗り継いで来たのだ。
彼を迎えに、和田剛さんといっしょに宮古空港まで行き、
そのまま三人で東平安名崎へと向かう。


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台風の影響で、これまで見たこともない波の姿を拝める。
すこし胸がどきどきしてくる。
まるで、何かの祝祭に居合わせているようだ。


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みんな、ただただ、「おお、おお、すごいなあ」と
笑顔でうなずきあうだけだ。


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最後の写真は、イムギャーガーデンで撮ったもの。
こんな日は、一編の秀逸なドラマを見ているようで、
雲や波や風を飽くことなく眺めている。
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2009年10月06日

雲を眺めに宮古島★2009年10月5日(月)

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那覇・桜坂の近くの公園。
うなじにあたる日光が、ひりひりする。
真夏の日だ。


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二泊の滞在を終え、宮古へ移動する。
台風の影響で、フライトが心配だったが、
とくに問題なく、力強い雲が沸き立っている。


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宮古島に近づくと、いつものことながら、
雲の迫力が増す。
ましてや、今回は二つの台風に挟まれているせいか、
ド迫力の雲が展開する。


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ほんとうに、いつも、下界、あるいは天上というニュアンスを
感じてしまう。

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2009年10月05日

雲を眺めに宮古島★2009年10月4日(日)

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午後、カメラマンの和田剛さんとレンタカーで古宇利島(こうりじま)へ。
沖縄本島の本部(もとぶ)という、西側中部にある小さな島だ。

台風の影響で、断続的に雨が落ちてくる。
雨の沖縄も、じつに味わい深い。


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古宇利島をあとにして、那覇へ戻る途中、
米軍基地キャンプ・シュワブがある金武で一休み。
米軍向けの飲屋街にある元祖タコライスの店で、腹ごしらえ。
うまい。

そのあと、宮古で知り合ったHさんのたこやき屋へ寄る。
久しぶりに旧交をあたためる。

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2009年07月08日

雲を眺めに宮古島★2009年7月8日(水)

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あっという間に、最終日。

宿に泊まっている女性が、東平安名崎へ行くというので、
案内する。

途中、比嘉ロードパークで海を見る。


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大潮の干潮で、かなり潮が引いている。

この日も、晴れわたって、最高の天気だ。

ちなみに、宮古島には山がない。
最も標高の高いところで100メートル少し。
東シナ海に、板が浮いているようなものだ。

高い建物がないので、視界が広い。
そう、空が広い、のである。

雲ひとつない晴天というのは、実はほとんどない。
必ずどこかに雲がいる。
雲好きのぼくにとっては、たまらないわけだ。

沖から吹いてくる風が、なんともいえず気持ちいい。
軽やかで、爽やかで。

比嘉ロードパークで、日暮れまで、海と空を見るというアイデアを
次回、やってみようと思った。
posted by サンシロウ at 12:43| Comment(2) | TrackBack(0) | ★雲を眺めに宮古島

2009年07月07日

雲を眺めに宮古島★2009年7月7日(火)追加

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(7月7日 東平安名崎にて)


気づいたら、宮古から戻ってきて、もう1週間近くになる。
宮古の夏が忘れられなくて、ちょっとだけ、追加。


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(7月7日 東平安名崎にて)


記憶と写真と、どっちが正しいか。
どちらも、正しくないようだ。

記憶は風の歌を覚えているし、
写真は光の詩を記録している。


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(7月7日 与那覇・前浜にて)


そうして、ぼくは、不確かな自分の記憶について思いを巡らしている。
そこにいた自分と、ここにいる自分。
何かがちがうのだろうか。
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雲を眺めに宮古島★2009年7月7日(火)

今日7月7日は、ガイア記念日である。
ぼくが勝手に決めたのだが。

ひとり、車を走らせ、東平安名崎へ向かう。
ここは、ぼくにとって、聖地とも呼ぶべきエリアだ。
これも、ぼくが勝手に決めた。

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(午後4時10分/東平安名崎、岬の入口にて)


焼けつくような陽射しのもと、湾を見下ろす丘には誰もいない。
いなくて、よかった。

「異邦人」のムルソーは、アルジェの強烈な太陽が照りつける浜辺で、
アラブ人に向かってピストルの引き金を引いてしまった。
理由は、太陽のせい、らしい。

僕は、のんびり、シャッターを押している。
これも、太陽のせいではある。

とはいえ、どう考えても、午後4時の光、暑さではありえない。


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(午後4時45分/東平安名崎、保良漁港わきの浜辺にて)


保良漁港のわきの浜辺に行く。
ちょうど、エリグロアジサシが舞い降りて、岩礁に下り立つ。

それから、まったく動く気配がない。
おい、陽に焼けるぞ、と声をかける。
あれほど白くまばゆい羽根が、なぜ日焼けしないのか、不思議だ。


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(午後4時53分/東平安名崎、保良漁港わきの浜辺にて)


それにしても、明晰である。
ほとんど考える余地がない。

風景が思考を凌駕している。
考えてみれば、それもそのはず。
大いなる自然が、ちっぽけなぼくの思考を超えているのは当然だ。


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(午後5時8分/東平安名崎の灯台をのぞむ)


もう、こうなると、ただただ、微笑むだけだ。
この雲を見ていると、人生など、取るに足りないものに思えてくる。

すなわち、くよくよしても、はじまらんぞ、というわけだ。
同時に、この世に生まれでた幸運に感謝するしかない。


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(午後6時1分/東平安名崎の灯台をのぞむ)


そんなことを、ぶつぶつと考えていたら、虹である。
午後6時すぎに。
おもわず、頭を下げてしまった。


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(午後6時18分/東平安名崎へ至る道)


岬の突端に立ち、黙礼して、東平安名崎をあとにする。
しかし、いつも後ろ髪ひかれる思いで振り返ると、まいった。

おい、しっかりやれよ、と雲に励まされる思い。


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(午後6時38分/ムイガーから友利/イムギャーをのぞむ)


東平安名崎をあとにして、友利へ向かう。
ムイガーの断崖を越えてイムギャー一帯が眺望できる峠で、
またしても別の雲が。

まったく。
ゆく先々で、老師が待ちかまえているようなものだ。

写真では見えにくいが、上層の雲は5色に輝く。
彩雲だ。


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(午後7時29分/与那覇・前浜にて)


来間島の長間浜で夕陽を拝もうかとも思ったが、
与那覇・前浜へ行くことにした。
ここは、聖地ではなく、最もお気に入りの場所だ。

内地より半時間ほど遅く、ようやく太陽が水平線に沈んでいく。

いったい、こんなものを見せられて、幸福について、
考えることができるものだろうか。
もう充分、幸福を突きぬけているのだ。


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(午後7時32分/与那覇・前浜から来間大橋をのぞむ)


そんなことをつらつらと考えながら、ふと、振り返る。
来間大橋の頭上に、白い雲が棚引いている。
きょう最後の謁見、といった風情だ。

自分の決めた聖地をめぐる小さな旅を終え、ぼくは幸福だった。
白い空と、白い雲が、最後に、語りかけてくる。

もっと身近にあり、奥深くにあり、いつも親しんでいるものに
きちんと気づきなさい、と。
またしても、ぼくは、頭を垂れ、その教えに感謝した。

ようやく三脚をたたみ、渚をあとにして、車に戻る。
ドアを開けようとして、ふと振り返ると、満月。


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(午8時1分/与那覇・前浜から満月をのぞむ)


出来すぎな話に思えるかもしれないが、そんな一日だった。
ひとりで、原初の島と向き合い、対話を重ねる。

ただそこにあるだけでいいことを教えられる。

ぼくらが心底、勘違いしているのは、
自分で自分を幸福にできると思いこんでいることなのだ。

人より先に行こうとし、人より上に行こうとし、
何かをやりとげようとし、やりとげられると思いこんでいる。
不遜な話だ、とみずからを省みる。

身にあまる何かを手に入れようなどと四苦八苦しないで、
そこにあるものに気づけばいいだけの話だ。

お前は阿呆だ。
少なくとも、満月は、僕にむかって、そう言った。

おっしゃる通り。
僕は、4度めのお辞儀をした。
聖地はいつも、叱咤し、激励してくれるのだ。

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2009年07月04日

雲を眺めに宮古島★2009年7月4日(土)

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東京から、知り合いが宮古へやってくる。
1泊2日の宮古。
無謀な話だが、責任の一端はぼくにもある。
かなり、宮古を褒め称えたそうだ。

あいにくの土砂降りだったが、わが聖地、東平安名崎を案内する。
幸い、雨はやみ、晴れ間も少し、のぞく。
雲がすばらしい。


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多くの人が、雨をきらう。
嫌わないまでも、やや躊躇する。
雨を好きになると、人生の多くの問題が解決する。

つまり、曇りのない目で、周囲を見渡せる、ということだ。
あるがままを受け入れるようになる、といってもいい。

要は、こころの問題なのだ。
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2009年07月03日

雲を眺めに宮古島★2009年7月3日(金)

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那覇から宮古へ移動。
空港でレンタカーに乗り、常宿のひららやへ向かう途中、
苦笑いが出てくるほどの土砂降り。

雨が、焼けついたアスファルトを冷やし、南国の匂いを発散する。
すぐに雨は小降りになり、宿へ行く前に、西平安名崎へ寄ってみる。
途中、大浦で、写真を撮る。
相変わらず、大地あるいは海面のすぐ近くを、巨大な雲が流れていく。
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2009年07月02日

雲を眺めに宮古島★2009年7月2日(木)

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那覇の熱風のなかで夜を語ったあと、
宿にもどり、ベッドにもぐろうとすると、
カーテンのすきまから薄い光がもれてくる。

宿の屋上へ出ると、空が桃色に染まっていた。
熱帯のなかで、しばしの休息が訪れていたのだ。

           (ゲストハウス 柏屋にて)
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2009年07月01日

雲を眺めに宮古島★2009年7月1日(水)

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というわけで、出張初日。
羽田は、どんよりとした雲に覆われていた。
だが、最近は事情が多少わかってきたので、慌てることもない。
なぜなら、これから空高く、向かうのだから。


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案の定、高度数千メートルでは、世俗を離れる。
今年は雪が多く残っていると言われている富士が、ぽっかりと頭を出している。
そう、富士を見下ろしているのだ。

梅雨前線を横目にみながら、ふと、妄想する。
僕らは、どれほど地表の思想にしばられているかを。


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長いこと、雲の海を眺めていると、妙な気分になる。
どう考えても、彼らには、意志があるとしか思えない。
彼らは、それぞれ旅団をつくり、向かうべきところへ向かう。
あきらかに、意図をもって動いている。


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雲は、生まれ変わるために、旅をしている。
雲と海は兄弟で、太陽とむすばれて水が生まれる。
では、僕らはそのひ孫なのだろうか。
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2009年04月25日

思い出すことなど 2009年4月25日

雨の土曜日。
庭のフキや新芽をつけた梅の木、ツバキやユズの新芽が、沈ん
だ緑一色の世界で、時の流れが脱色されたように見える。そう
か、宮古島の東平安名崎では、テッポウユリが岬一面に甘い香
りをただよわせているころだな、と思いいたる。


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(宮古島/東平安名崎 2005年4月 撮影)


気分をほんの少しだけ軽やかにしようと、昔の写真をさがして
いたら、伊良部島、正確には下地島の、パイロット訓練場わき
の写真に目がとまった。


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(宮古島/下地島 パイロット訓練場 2006年9月 撮影)



拙著『孤島の発見』を編集していたとき、最初は収録するつも
りだったが、最終的にボツにした写真だ。掲載するかどうか、
最後まで悩んだが、人工物で海が傷ついている、と見えなくも
ない。

この場所にいったとき、カミュの『異邦人』とビーチベッドと
パラソル、それに、よく冷えたビールの入ったクーラーボック
ス、パットメセニーのCDとプレイヤー、釣り竿を持ってくる
べきだったと悔やんだ。

だが、実行していたら、逗子には戻ってこなかったにちがいな
い。人生、どこに魔の手が潜んでいるかわかったものではない
と思いつつ、神はときには悪魔の姿を装って近づいてくること
もある、などと、呑気な妄想に浸ってみる。気に入った風景の
土地に住む、ということはどういうことなのか、いまだに惹か
れるものがある。

そういえば、ちょくちょく沖縄本島へも行くようになったが、
北部のほうはごぶさただな、と気づいた。本島北部は、那覇と
はまたちがった趣があり、岡本太郎が、御嶽には何もないから
こそ聖地の原初的なエネルギーを感得できるといったような意
味で、なにもない北部が気に入っている。もともと、私には離
人症の性向があるのだろう。


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(本島・国頭オクマビーチ 2006年9月撮影)


私も歳をとり、老人がみなそうであるように、昔のことどもを
懐かしむ。

かつて国頭のオクマビーチから辺戸岬へむかうとちゅう、謝敷
を走っていて、なんの変哲もない場所で車をとめた。光がすべ
てをまっすぐに照らしている。

古びた民家、国道、やんばるの森、海、そのすべてが等価に見
える。路肩に腰をおろし、ぼんやりとあたりを眺めている自分
も、その等価物のなかに吸いこまれていく。すると、時が止ま
り、自分というものの無意味さに気づく。幸福な瞬間だった。


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(本島・謝敷 2005年1月 撮影)



不況のせいで、会社によっては、16連休のところもあるそうだ。
不況も、悪くないな、などと思う。と書くと、不謹慎のそしり
をまぬがれないかもしれない。

だが、私の子ども時代の1960年代はじめ、昭和でいうと35年こ
ろ、まわりはみんな貧乏だった。生活費が足りなくて、たまに
ご近所同士で金の貸し借りをしていたし、ミソや醤油の貸し借
りは日常茶飯事だった。

あのころを懐かしく思う。貧乏が不幸でも、欠乏でもなく、そ
れはそれで楽しかったこと。そんなふうに思うのは、遠い過去
の記憶のせいだろうか。

いずれにせよ、今日の雨は、やがてあがり、明日は晴れ間がで
るそうだ。自然は、いつだって、自然のままである。
posted by サンシロウ at 20:11| Comment(2) | TrackBack(0) | ★雲を眺めに宮古島

2009年03月17日

2009年3月16日(月)

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(2007年7月11日 宮古島・前浜にて撮影)



午前中、印刷データを届けに、池袋へ。
帰りの電車はすいていて、ぼんやりと、窓外の、
うららかな景色を見るともなく眺める。

線路わきの土手に咲き乱れる、まぶしいほどの菜の花や
こんもりと花をつけた紅梅などを楽しむ。

ふと、宮古島の前浜が目にうかぶ。
白い砂、すぐ向かいにある来間島の緑、エメラルドグリーンの海、
くったくのない空、ゆったりと流れる雲たち。

夏への想いが、立ちあがってくる。


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2008年12月18日

雲を眺めに宮古島(4)2008年12月16日

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(新都心おもろまちにある那覇県立美術館・博物館)

昼すぎ、『沖縄正面』の著者、ダニエル・ロペスと放浪の画家アマネさんと、那覇新都心おもろまちへ。
この地は、太平洋戦争末期、壮絶な戦闘が繰り広げられた地で、今も地面を掘り起こせば、戦死した人々の白骨が出てくるという。
今はそうした記憶が茫洋としてくるほど、平和である。
複雑な心境だ。

ともあれ、スタバへ行き、ダニエルも編集を手がけている季刊の沖縄空手雑誌「ジ・オキナワン」の主幹の、ミゲールさんと情報交換。
そのあと、県立美術館・博物館へ。
琉球の王城(グスク)を彷彿とさせるデザインだ。

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(県立美術館・博物館の入口を入ってすぐの展示物)

門を入ると、琉球の伝統的な、民家が設営されている。

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館内にあるブックショップも兼ねたミュージアムショップで『沖縄正面』の営業。
そのあと、市民ギャラリーへ行き、県立芸大で学ぶダニエルの先生が開いている展示会を見学。

その後、ダニエルが取材で出かけたので、アマネさんと、美術館の裏手にある公園で、のんびりと雑談する。
汗ばむほどの陽射しで、あれこれ話をする。

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とても12月には思えない、初夏のような一日だった。

(和田文夫)

日の出  7:10(前日  7:09)
日の入 17:40(前日 17:40)
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2008年12月15日

雲を眺めに宮古島(3)2008年12月15日

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午後4時の便で、那覇へ。
あっという間の宮古滞在だった。
宮古・那覇間は、いつものごとく、ほれぼれする雲海がつづく。

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那覇空港では、雲間から夕日がこぼれていた。
アマネさんとダニエルさんが、わざわざ空港まで迎えにきてくれ、恐縮する。

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那覇で常宿にしているゲストハウス柏屋へ。
前回きた9月にくらべると、だいぶ涼しく、過ごしやすい。

(和田文夫)

日の出  7:09(前日  7:08)
日の入 17:40(前日 17:40)
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2008年12月14日

雲を眺めに宮古島(2)2008年12月14日

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午後遅く、ガイアの本を販売していただいているスパイスカフェ茶音間へ挨拶へ行く。
そのあと、池間島へ。
ダイナミックな雲が流れていく。

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その雲につられて、西平安名崎へ行ってみた。
風がやや強く、風力発電のプロペラがリズミカルに回っている。

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伊良部島の上空には、刻々と雲が姿を変えていく。
誰もいない岬の突端で、ぼんやり雲を眺めていた。

(和田文夫)

日の出  7:08(前日  7:07)
日の入 17:40(前日 17:39)
posted by サンシロウ at 15:49| Comment(1) | TrackBack(0) | ★雲を眺めに宮古島

2008年12月13日

雲を眺めに宮古島(1)2008年12月12日(金)

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きょうから、宮古〜那覇出張だ。
宮古島は7か月ぶり。
5月の和田剛さんの写真展に行って以来。

逗子をでるときは汗ばむほど暖かく、12月には思えない。
機内でフリースを脱ぎ、Tシャツ一枚になる。
那覇に近づくと、いつもの大迫力の雲海は見えないものの、
その上で寝ころびたい雲の絨毯が広がる。

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那覇で乗り換えだが、2時間待ち。
Tシャツ1枚でも、暑い。
体が冬モードになっているからだろう。
羽田のくすんだ空にくらべると、光がくっきりと飛び跳ねている。
ちょうど、水平線に夕日が沈むところだ。

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那覇から宮古行きの飛行機が高度を上げるにつれて、かなたの空がオレンジ色に染まっていく。
眼下に漁り火が見えた。
目をこらすと、小さな島影が見える。
漁り火ではなく、大神島だった。

あっという間である。
宮古のつつましやかな夜景に、こころ休まる。
久しぶりの宮古に、すこし感傷的になった。

着陸態勢に入ったとき、窓外に大きな、満月が煌々と輝いている。
あとで聞いた話では、地球に最も近づいたときの満月らしい。

空港で、いつもお世話になっているアズーレンタカーのKさんから車を借りて、常宿のひららやへ電話を入れる。

「すみませんが、月があんまりきれなもので、このまま撮影に回ります」

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比嘉ロードパークにて、1時間、撮影をつづける。
ひららやへ戻ろうかと思ったが、ついつい、さらなる欲望がわく。
そして、東平安名崎へ。

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東平安名崎にて、2時間。撮影する。
少し風がでている。
ひっそりとしている。
だれもいない。
ひたすら、月を撮る。
ふと思う。
最も好きな場所にいることの至福を。
(和田文夫)

日の出  7:07(前日  7:07)
日の入 17:39(前日 17:39)
posted by サンシロウ at 17:49| Comment(2) | TrackBack(0) | ★雲を眺めに宮古島