2008年05月25日

宮古島日記 2008.5.25

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和田剛さんの写真展(宮古編)の最終日。私は那覇へ移動するので、一足先にギャラリーを出て、間那津〜池間〜島尻と、ひとりでドライブに出かけた。
宮古に来て、東平安名崎と来間島、池間島に行かないと、どうも宮古へ行った気にならないからだ。
その日、天気は上々だった。池間大橋にさしかかり、大神島にご挨拶しようと思って展望スペースへ言ったら、驚いた。
大潮の干潮のせいか、いつもは海である場所に、小さな無人島ができているではないか。
あんなところに、砂浜があるなんて。
初めてみる光景だった。
ふと、久米島の「はての浜」を思い浮かべた。
いつもは、黒いウェットスーツを着た地元の漁師が
潜ってタコ漁をしている場所である。
海底は、あんな白砂だったんだ・・・。
お前は、写真集など出して、宮古を知った気になっているようだが、まだまだ知らないことはいっぱいあるぞ、と島に説教されたような気がした。
ありがたいことである。

あまりにほのぼのとした景色に見とれてしまい、結局、池間島へ行く時間がなくなり、池間大橋を渡らずに、島尻へ。

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拙著「孤島の発見」を編集していたとき、島尻というエリアの風景を集めた。ところが、どうにも納得できなくて、島尻エリアを外した。
今日がどんな具合だか、見たかったのである。
大潮の日で、さらに、干潮の時間だったのだろう。
島尻のマングローブが、このうえない状況で輝いていた。
もはや写真集は出てしまったけれど、「だからさー、最低でも、1年、いつづけないと、だめなんさー」などと、ぶつぶつ独り言を言いながら、シャッターを押しつづける。

でも、それでいいのだ。その風景を見ること自体に、僕は揺るぎない幸福を感じるのだから。
同じ風景は、二度とありえない。
だからこそ、その時、しっかりと見つめなければならない。
(和田文夫)


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2008年05月23日

宮古島日記 2008.5.23(夕方)

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和田剛さんの写真展で、その日の展示時間が終わり、ギャラリーを閉めてスタッフたちと車で宿へ戻る途中、大きな夕陽が海に落ちようとしていた。
全員一致で、宿へ戻らず、そのまま夕陽を鑑賞しようと、トゥリバー地区へ向かう。
ギャラリーから車で10分ほどの距離だ。
車から降りて渚へ向かうと、すでに太陽は伊良部島の彼方に沈んでいた。
だが、残り香のごとく、あでやかなオレンジ色に染まっていく雲を
眺めていると、敬虔さ、畏怖の情、祈りともいうべき、静かなこころがやってくる。
(和田文夫)
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宮古島日記 2008.5.23

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和田剛さんの写真展の終盤。
連日、ギャラリーに詰めて接客していた剛さんが、ぽつりと言った。
「ちょっとだけ息抜きをしたいんだよねえ」
写真展のスタッフのアマネさんとアヤちゃんに無理を言い、数時間、オフの時間をもらうことができた。
気持ちは、痛いほどよくわかる。
写真展では、地元のさまざまな方にお会いすることができ、暖かい言葉をいただき、大いに刺激にはなったのだが、宮古にいて、一度もビーチへ行けないとは、すこぶる寂しい。
そこで、僕にとっても懸案だったライオン・ビーチへと向かう。
もとはといえば、宮古・間那津のカレーショップ茶音間(ちゃのま)のオーナーの奥さんが、自宅ちかくの、ほとんど人の行かない美しいビーチに、よく息子さんを連れて泳ぎに行く、という話を耳にし、一度、行ってみたいと思っていたのである。
ちょうど、ゲストハウスひららやに泊まっていたハルちゃんも探検したいとのことで、3人で、曇天の午前中、ライオン・ビーチを目指して車を走らせる。
農道から、ジャングルまがいの獣道に入りこむと、本当にこんなところにビーチがあるんだろうかと3人とも、疑心暗鬼で頭をひねる。
さまざまな種類のチョウが舞う、うっそうと茂ったジャングル模様の隘路を進んでいくと、やがて小さな空き地が出現。
なんと、軽自動車のジープが一台、すでに駐車している。
車を降りて怪しい小道を辿っていくと。
突如、ビーチが出現。ライオン・ビーチのようだ。

貸切。

エメラルドブルー。    
ひっそりと打ち寄せる波の音だけ。
のんびりと流れゆく屈託のない雲。
とりあえず、シュノーケリングをし、泳ぎ、沐浴し、汀に寝そべり、3人は、思い思いにからだを解き放っていく。
だれもが言葉少なく、ただただ微笑んでいるだけだ。
しばらくすると、雲の切れ間から、青い空が顔を見せる。
剛ちゃんもハルちゃんも、小学生としか思えない表情をしていて、大いに納得できた。
そしてまた、孤島に教えられる。
人は幸福を追い求めて何かをしようとするが、そのことで幸福から遠ざかっていくことに気づかない。
幸福は、すでにそこに横たわっているのだ。
(和田文夫)
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2006年04月08日

★宮古島日誌 2006-04-08 和田文夫

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あっという間に最終日。荷造りをして、部屋を明けわたし、ブランチ。二日酔いにはちがいないが、存在に重くのしかかる二日酔いではなく、ふわりとした気分だ。わたしは根っから自堕落な人間なので、この島の、いや、この気候の上昇志向のなさに共振してしまう。

さすがに、一度くらいは東平安名崎を拝まないとバチがあたると思い、レンタルスクーターを借りようと思ったら、ひららやのスタッフのAさんが、車で連れていってくれるという。ここはお言葉に甘えて助手席に乗り込む。風がやや強いが、晴天で、サトウキビ畑が葉をなびかせ、光を反射している。

いつものように、岬の付け根にある丘へあがり、写真を撮る。東平安名崎はいつもとかわりなく、ひっそりと美貌を振りまいている。Aさんと、岬の突端にある灯台までのんびり歩いていく。ちょうど灯台の公開日だったので、上まで登ることにした。初めてのぼったが、すばらしい眺めだった。この場所は、最初きたときから、とても他人とは、いや異郷の地とは思えぬ風情がある。毎回、そんなふうに思う。

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